「成田空港警察署です」「成田空港入国管理局です」など、“成田”からかかってくる電話が増えている。先日、本連載の担当編集のところにも「成田空港遺失物係」を名乗る電話がかかってきた。最近、この手の詐欺電話が多発しており、30歳代を中心に多額の被害が発生している。中には何百万円も奪われたり、性的な脅迫を受ける人もいるなど、非常に悪質だ。どんな手口でどんな被害が起きるのか、そして電話がかかってきたらどう対応すべきかを紹介する。(ITライター 柳谷智宣) ● なぜか「成田空港」から電話がかかってくる 最近、成田空港の関係部署から「クレジットカードを落としていないか」などと詐欺電話をかける手口が流行っている。2025年6月27日、成田空港は「「成田空港遺失物係」および「成田空港警察署」を名乗る不審電話にご注意ください」と注意喚起した。 詐欺手口の入り口は電話だ。2025年6月に起きた事例では、ある日30代男性に成田空港警察署を名乗る男から電話がかかってきた。キャッシュカードが事件に使われ、マネーロンダリングの容疑がかかっている、と言うのだ。出頭できないと答えると、SNSのビデオ通話で事情聴取が行われ、家族構成や口座の残高について質問があった。このケースでは、被害に遭う前に詐欺に気づいたので、被害は発生しなかった。 近年、この種の警察をかたる電話詐欺が急増している(参考記事)https://diamond.jp/articles/-/361710。2025年5月末時点の認知件数は3816件と、特殊詐欺の認知件数(1万905件)の35%を占めているのだ。 被害額は316.1億円で、特殊詐欺全体の被害額の64%と深刻なレベルになっている。2025年5月単月の被害だけで、認知件数は2264件、被害額は100.6億円とヒートアップしている。2024年の被害額は371億円だったので、半年で追い越してしまいそうなペースだ。 単に「最近航空機を使いましたか?カードを落としていませんか?」と聞いてくるほか、成田空港警察ではなく、他の警察を名乗るケースも多い。「あなた名義の口座が不正に開設されており、あなたも資金洗浄事件の容疑者になっている」や「あなた宛の国際郵便から違法薬物が発見された」「銀行口座を売却した疑いで逮捕状が発行されている」などと脅してくる手口も報告されている。