39年前、福井市で女子中学生が殺害された事件で有罪となり服役した男性の再審(=やり直しの裁判)で、名古屋高裁金沢支部は男性に無罪を言い渡しました。 無罪判決が言い渡されたのは前川彰司さん(60)です。前川さんは1986年、福井市で当時中学3年生の女子生徒が自宅で殺害された事件で、21歳の時に逮捕されました。 前川さんと事件をつなぐ直接的な証拠はありませんでしたが、決め手となったのは「血の付いた前川さんを見た」などという関係者6人の証言でした。1審では無罪判決が言い渡されましたが、2審では懲役7年の有罪判決となり、最高裁で確定しました。 一貫して無実を訴えていた前川さんは服役後、2度目の再審請求で名古屋高裁金沢支部が去年10月に再審を認める決定をしました。 18日午後2時に言い渡された再審の判決で、名古屋高裁金沢支部の増田啓祐裁判長は「主要な関係者の1人が自身が起こした刑事事件で有利な量刑を得るためにうその供述を行い、捜査に行き詰まった捜査機関が、他の関係者に対しても誘導などの不当な働きかけを行った疑いが払拭できない」と指摘しました。 その上で「前川さんの有罪認定の根拠となるべき主要な事実は認定することはできない」と判断し、無罪を言い渡しました。(ANNニュース)