滋賀県東近江市の湖東記念病院の入院患者死亡を巡り、殺人罪で服役後に再審無罪となった元看護助手の西山美香さん(45)=同県彦根市=に対し、県警の池内久晃本部長が7日、直接謝罪した。彦根市の県湖東合同庁舎で西山さんや西山さんの両親らと面会した池内本部長は「逮捕から今日に至る21年余りの長きにわたり、言葉では言い表せないほどのご心労、ご負担をおかけし、大変申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げた。 池内本部長は面会で「より一層緻密かつ適正な捜査に取り組んでいく」とし、「判決で指摘された事項は重く受け止めている。真摯(しんし)に反省している」と述べた。母親の令子さん(75)は「警察は市民の味方だと思っていた。裏切られた思いでいっぱい。残念でたまらない」と語った。 西山さんが県と国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁は7月、県警の捜査の違法性を認め、県に約3100万円の賠償を命じた。県側は控訴を見送っていた。 西山さんは面会後の記者会見で「謝ってくれたのはよかったけど、同じ言葉ばかり言って、これで本当に冤罪(えんざい)がなくなるのかなと思う。今日の言葉を本部長が心して下の人に指導してほしい」と振り返った。 西山さんは入院患者死亡で懲役12年の実刑が確定したが、大阪高裁が2017年に再審開始を決定し、大津地裁が20年に再審無罪を言い渡していた。【菊池真由】