【ライブレポート】ラブレターズ溜口が贈る新感覚大衆演劇「溜口スーパーSUMMERショー」ムロツヨシを蹴散らし大団円

ラブレターズ溜口が作・演出を担当し、主演を務める「溜口スーパーショー」シリーズの新作「溜口スーパーSUMMERショー ~BACK TO THE GUCHITAME~」が8月9日、10日に東京・伝承ホールで開催された。タッカーノ、肉体戦士ギガ、ターリーターキー玉というおなじみの人力舎キャストとASH&Dの仲間たちが一致団結して盛り上げた3公演。この記事では10日の千秋楽公演の様子をレポートする。 2017年にスタートした「溜口スーパーショー」は溜口が1人で歌い踊り、自身演出の芝居を披露するエンタテインメントショー。初期は東京・LOFT9という小さなライブハウスを舞台に、“溜口がディナーを楽しむ様子を観客が眺める“という一風変わった演目が一部から熱狂的な人気を集め、ここ数年は大きな会場に舞台を移して芝居パートをメインにした壮大なステージが繰り広げられている。 今回は「溜口スーパーSUMMERショー」当日、キャストのザ・ギース高佐に「ハープと不倫」という信じがたいスキャンダルが発覚したところから物語が展開。大竹社長の決定によりショーは一時中断し、楽屋にはどんよりした空気が流れたが、溜口は観客の笑顔のため、そして高佐が戻ってくる場所を残しておくため、翌日の公演の実施を決意する。そして舞台の幕は開け、溜口が歌う「ロマンティック 浮かれモード」で楽しいメドレー歌唱がスタートすると思いきや、再び大竹社長がストップをかける。なんと、江里子が豆苗と一緒に禁じられている植物を育てていたことが判明し、警察が来ているというのだ。このとんでもない事態の一部始終を観客に目撃されながら、「スーパーショー」はついに中止となってしまった。 残された一同は肩を落とすばかり。ザ・ギース尾関はいつもなら大量に持ち帰るケータリングにも手を出さない落ち込みようだ。一方溜口は、タッカーノ、ギガ、玉と共にスマホを忘れて帰った塚本の自宅へ。そこでまさかの「塚本逮捕」のニュースが目に飛び込んでくる。不祥事の連続に頭を抱える溜口だが、病院に忍び込んで薬品を盗んだ容疑をかけられている塚本が「お前が未来を変えてくれ! ミシンは未来を変える!」と供述していたという報道を見て、きっと相方である自分に何かを伝えようとしているのだと確信。塚本宅を調べると、ミシンを改造したタイムマシンが。わからずいじっているとマシンが作動してしまい、彼らは過去に飛ばされた。 阿佐ヶ谷姉妹の結成に関わる場面や、高佐がハープと出会ってしまう瞬間など、各コンビの重要な局面に立ち会いながら、未来を変えるべく奮闘する4人。その中で、未来の不祥事の“種”を蒔いている人物に遭遇する。その正体は、ムロツヨシ。スーパーショーを乗っ取ろうとするムロとの時空を超えた激しいバトルが勃発し、溜口サイドは窮地に立たされながらも、座長・溜口を守りたいASH&Dメンバー、そして仲間を守りたい溜口の団結力によって決着した。 今作はシリーズ初となる“タイムスリップ”という設定を取り入れ、阿佐ヶ谷姉妹のコンビ結成のきっかけとなった鰻屋や美穂がバイトしていたパーコー麺屋、ザ・ギースが2010年10月に出演した「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送)で「面白くない!」と大竹まことにぶん殴られた事件といった現実のエピソードも多数散りばめ、ファンの心をくすぐった溜口。パフォーマンスでは2.5次元舞台を思わせる新衣装で歌い、戦う姿で輝きを放ち、会場を魅了した。 実際に登場はしない大竹まことやムロツヨシの声は本人に依頼して録音したもので、「興味深けー!」(大竹)や「未来はムロツヨシの天下だ!」(ムロ)など、2人が今後言うはずのないフレーズの数々を聞けたのも貴重だった。またバトルシーンのキャストそれぞれの人体改造や、タイムスリップシーンに使用された紗幕、精巧なムロツヨシのフェイスマスクなど、装置や小道具のレベルは過去最高。この3公演のためだけにキャスト、スタッフ一丸となって時間、労力、コストを費やし、ほかに類をみないステージを作り上げて観客を笑顔にした。 エンディングでは全員でSHISHAMO「明日も」を歌い、終幕。アンコールに応えて再登場した溜口は「どういう顔していいかわからない」と照れくさそうで、「みなさんが幸せになればそれでいいです。ダッハッハッハ!」と大笑いしてみせる。「みなさんにとって楽しい時間であったなら、よかったと思います。またよろしくお願いします!」と挨拶してステージを後に。さらにダブルアンコールがかかると「もうしゃべることがなくて……本当にもう、帰ってください!(笑)」と帰宅を促していた。

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