「墓場まで背負っていくつもりでしたが…」元参院議員の河井あんりさんが参院選の大規模買収事件を語り始めた理由

2019年の参院選をめぐる地元議員らの大規模な買収事件で、夫の河井克行・元法相(62)とともに公職選挙法違反(買収)の罪で有罪判決を受けた元参院議員の河井あんりさん(51)が6月、『天国と地獄』(幻冬舎)を出版した。これまでに語ることがなかった「事件」を振り返り、「司法には闇がある」と言う案里さん。「社会的に意義のある仕事をして、信頼を取り戻したい」と踏み出した歩みについて語った。 * * * ――2019年の参院選をめぐり、翌年に公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕されました。 選挙活動中の「ウグイス嬢」の報酬は当時、法定価格で日当1万5千円だったのですが、私の陣営では3万円を支払っており、それが「運動員の買収」だと週刊誌で報道されたことが始まりでした。そして、私の陣営が現金を配っていたとして、広島の自宅と事務所、東京の事務所と議員宿舎にも強制捜査が入りました。 何のことなのかと夫に問い続けましたが、夫は「知らなくていい」の一点張りで、私は自分が何に巻き込まれているのかわからず、とても怖かった。 そして逮捕される3日ぐらい前に、「ひょっとすると案里さんも逮捕されるかもしれない」と弁護士から言われました。私は捕まるようなことはしていない自信があったので、すごく冷静でした。実際に逮捕されたときは、「今、手錠をかけられたな」「腰縄をかけられたな」というように客観視していました。 ■司法には大きな闇がある ――拘置所での生活は、4カ月半続きました。 逮捕前日の夜、議員宿舎の会議室で菅義偉・元首相(当時は官房長官)にお会いしたんです。秋田から上京して今に至るまでにどんな苦労をされたのか、ご自身の生い立ちを話してくださいました。そして「つらいことはいろいろあった。でも苦しいことには必ず終わりがあると思ってやってきた」とおっしゃったんです。この言葉が、拘置所の中での私の心の支えとなりました。

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