米ミシガン州に住むサミュエル・カンゲテさんは24日、妻と3人の子供たちに別れを告げた。カンゲテさんは、いまや数万人規模にのぼる「自主的な国外退去者」の1人となった。カンゲテさんのような人が増えている背景には、全米で激化する移民・税関捜査局(ICE)の強制捜索がある。トランプ大統領の不法移民取り締まり命令以来、数千人が逮捕され、強制送還や長期の収容に直面している。 39歳のカンゲテさんは2009年に学生ビザでミシガン州に渡米。その後学位を5つ取得し、家を購入した。米国人女性と結婚し、現在は13歳、11歳、5歳の子供の父親である。2025年5月まではミシガン州運輸局で会計士として働いていた。 カンゲテさんの身分の問題は、最初の結婚にさかのぼる。その結婚によって条件付きの米国永住権を得たが、2014年に移民当局から偽装結婚の疑いをかけられた。裁判所の判断はいまだ示されておらず、カンゲテさんは自身が強制送還の危険に直面していると考えた。 自主的に米国を退去した サミュエル・カンゲテさん 「ニュースやSNSを開けば、人々が集団で拘束され、エルサルバドルに送還されたり、収監されているというニュースばかり目に入る。私が自主的な国外退去を選んだのは、安全のためだ。たとえ家族と一緒にいられなくても、家族が私の居場所を知り、連絡を取れる場所にいたいからだ」 妻のラタビアさんは、子供を1人で育てることへの経済的な不安を語った。だが最も困難なのは心理的な影響だと話す。 妻のラタビアさん 「家族でセラピーを受けなければならないだろう。子供は回復力があると言っても一晩で立ち直れるわけではない。こんな状況に適応できる人なんていない」 カンゲテさん 「現実感がなくて…どうすればいいかわからない」 カンゲテさんは現在ケニアで、かつて共に育った家族に囲まれている。だが、いつの日か合法的に米国に戻り、妻や子供と再会できるよう、今も希望を抱き祈り続けている。 カンゲテさん 「もしトランプ大統領と直接話す機会があれば、私はこう言うだろう。『大統領、どうか、どうか、この子供たちの叫びに耳を傾けてください。私のような人々に慈悲をかけてください』と」