家宅捜索中に捜査対象者の男性を殴るなどしたとして、大阪府警捜査4課の警察官2人が逮捕された事件で、大阪地検は25日、警部補の時長力容疑者(51)=大阪府豊中市=と、巡査部長の阪口裕介容疑者(33)=奈良県桜井市=を特別公務員暴行陵虐罪で起訴したと明らかにした。 ■府警、再発防止策を検討へ 府警関係者らによると、捜索現場には当時20~30人の捜査員がおり、現場にいた別の男性2人も暴行を受けたと訴えている。 府警は他の警察官の関与や、起訴された2人による別の暴行の有無も捜査している。 府警は今回の事件を受けた再発防止策などについても今後検討するとしている。 事件は、国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」が女性を性風俗店に紹介したとする職業安定法違反容疑事件の捜査で、大阪市西区のビルの一室を捜索中に起きた。 ■「多数回平手打ちし、殴打」 起訴状などによると、7月15日午後9時15~35分ごろ、阪口容疑者はこの一室にいた20代男性の顔面や頭部を多数回平手打ちし、腹部を殴打。 さらに2人は共謀し、時長容疑者がソファに男性を押し倒し、阪口容疑者が腹部を蹴るなどの暴行を加えたとされる。地検は認否を明らかにしていない。 府警は捜索後の15~16日、この男性を含む計3人を同法違反容疑で逮捕した。 3人は接見に訪れた弁護士にそれぞれ「4~5人の警察官に体を押さえつけられて腹や胸を踏まれたり顔を平手打ちされたりした」「30分以上にわたり暴行を受けた」などと申告。弁護士が府警などに申し入れをして今回の事件が発覚した。 府警によると、時長容疑者は捜索の現場責任者で「殴打したという認識はない」と容疑を否認し、阪口容疑者は「間違いない」と認めていた。 府警は捜索時に違法行為があったとして、別に逮捕した1人を含む計4人を8月1日に釈放。スカウトグループの実態解明に向けた捜査は中断された。