神戸市中央区のマンションで住人の会社員、片山恵さん(24)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区=とみられる男が事件3日前の17日にも、別の20代女性の後をつけ、マンションのオートロックをすり抜ける姿が確認されていたことが27日、捜査関係者への取材で分かった。兵庫県警は、男の特徴などから谷本容疑者とみて詳しい状況を調べている。 谷本容疑者は今月17~21日、勤務先に夏季休暇の希望を出し、17日に神戸入りし、同市中央区にある片山さんの勤務先付近のホテルに宿泊していた。 捜査関係者によると、谷本容疑者が22日に逮捕された後、同区に住む別の20代女性から県警に相談があったという。事件3日前の17日、女性がエントランスのオートロックを解除した際、扉が閉まる直前に見知らぬ男が入ってきたことに気づいたという。女性は奥のスペースに避難し、時間がたってから様子を確認すると、男はいなくなっていたという。 片山さんのマンションの防犯カメラにも、片山さんがオートロック式の扉を開けた直後に、後からすり抜けるように侵入する谷本容疑者とみられる男が確認されている。 また、県警は27日朝、谷本容疑者の東京都新宿区内の勤務先の社員寮の部屋を家宅捜索。県警の捜査員らがこの日午前5時過ぎ、谷本容疑者の部屋に入り、段ボールなどを持って約2時間後に現場を後にした。事件に関連する証拠資料を押収したとみられる。 寮の部屋は4畳半で、ベッドや冷蔵庫が置かれていたほか、床には書類が散らばり、飲みかけのペットボトルの飲料や宅配ピザの空き箱が放置されるなど、雑然とした様子だった。 谷本容疑者の逮捕容疑は20日午後7時20分ごろ、神戸市中央区磯辺通のマンションで片山さんの胸部などを刃物で複数回刺して殺害したとしている。谷本容疑者は「ナイフで腹部のあたりを1回か2回くらい刺したことに間違いありません」と供述する一方、「殺意を持っていたかは分かりません」と容疑を一部否認している。