ミネソタ・ティンバーウルブズの躍進に貢献するナズ・リードの姉、トラヤ・リードが銃撃を受け、死亡した。 事件は9月7日(現地時間6日)、マンハッタンから南に100キロメートルに位置するニュージャージー州ジャクソン・タウンシップで起きた。地元警察によると、午前11時頃に通報を受け現場に駆けつけると、アパート敷地内の入口付近で複数の銃創がある女性が倒れている姿を発見。女性は反応がなく、その後、身元がリードの実姉であるトラヤであることが確認された。 容疑者の29歳男性、シャキール・グリーンは近隣の道路上で確保され、殺人および銃器関連の複数容疑で逮捕ならびに起訴された。殺害の動機は明らかになっていないが、検察当局によれば、被害者と容疑者は交際関係にあり、検察はドメスティックバイオレンスとして事件を扱っている。 トラヤはリード家の長女であり、弟のナズ、妹のジャカイヤの三兄弟は皆、ニュージャージー州内のローゼル・カトリック・ハイスクールに通っていた。母親の背中に労働倫理を学んだナズは「自分が成功して家族を支えたい」と語るほど家族思いのプレーヤーであり、姉のトラヤについては過去のインタビューで「とても面倒見がよく、親のように僕らを守ってくれた」と、信頼と感謝の気持ちを述べている。 ナズは、そんな姉との突然の別れに心を痛めながら、自身のSNSに幼少期の姉と一緒に写った写真を投稿。よだれ掛けをするほどナズが小さな頃にベッドの上で共に過ごす様子や、愛犬の誕生日を祝うトラヤの優しい一面などを振り返っている。 妹のジャカイヤもSNSを更新。姉の死が悪い冗談ではないことを信じられずにおり、悲痛な思いを吐露した。 「私たちはいつも誰かにお悔やみを伝えるとき、『自分のことだったら絶対に想像できない』と言いますが、今、私はその立場にいます。想像を絶する現実です。あなた(トラヤ)が隣にいないなんて。神様が私から姉を奪ったことを、私は絶対に許しません。神様にどんな酷い計画があるのかは知らないけれど、彼女を失うことがその計画の一部であるはずがありません。あなたの名前と死を同じ文章に入れることすら想像できないです。帰り道の間ずっと、あなたから『そんなの嘘だよ』と電話がかかってくることを願い、祈っていました。嫌悪感に押しつぶされそうで、深く傷ついています。そして、何よりも怒りが込み上げています」 また、ジャカイヤは別の投稿で“リードの姉”と報じられることに嫌悪感を示し、「私の姉には名前があります。彼女は“NBAスターの姉”ではありません。彼女の名前はトラヤ・リードです」と、愛する姉の尊厳を強く主張している。 2025-26シーズン開幕を数週間後に控えたタイミングで、リード一家を襲った悲劇。ティンバーウルブスは9月末にトレーニングキャンプを開始し、今夏に5年総額1億2500万ドル(約184億4000万円)の大型契約で球団と再契約を果たしたリードは、チーム在籍7年目に突入する。リードが再びコートに戻り、チームメイトの後押しを受けながら全身全霊でプレーし、その全てを最愛の姉に捧げるだろう。 文=Meiji