カンボジア北西部の町ポイペトを拠点とした特殊詐欺事件で、日本に移送され詐欺未遂容疑で逮捕された日本人のかけ子29人が、拠点内で監視役から耳を焼かれたり、爪を剥がされたりするなどの暴行を受けていたことが10日、愛知県警への取材で分かった。 渡航したことを悔やむ容疑者もいるという。 県警は同日、別の詐欺未遂容疑で、職業・住所不詳の大坪裕介容疑者(35)ら19~52歳の29人を再逮捕した。5月27日、警察官などを装い、カンボジアから京都府舞鶴市の男性に「マネーロンダリング(資金洗浄)容疑がかけられている」などと電話し、現金をだまし取ろうとした疑い。 県警組織犯罪特別捜査課によると、29人は借金返済、求職などの理由で日本から渡航。中国人監視役の管理下で、朝から晩まで日本に電話させられていた。詐取実績の数パーセントがかけ子の取り分で、警察官役などの役割に応じて暗号資産や現金で配分された。 しかし、指示通りに動かず、「日本に帰りたい」と口にすると殴る蹴るの暴行を受けた。ライターで鼓膜を焼かれたり、爪を剥がされたり、ナイフで切り付けられることもあり、県警の取り調べに「行って後悔した」と供述する者もいるという。