和牛をカンボジアに輸出すると偽って香港に輸出したとして、神奈川県警と横浜税関は11日、宇都宮市の食品輸出入・販売会社の社長で中国籍の男(47)ら男女3人を関税法違反などの疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。県警は、輸出先を偽装することで規制が厳しい香港への輸出の手続きを省き、加工などの費用も圧縮する狙いがあったとみている。 捜査関係者によると、3人は2023年11月、最高級のA5ランクを含む冷凍の和牛約1.3トン(輸出申告価格約9100万円相当)を、実際は船便で香港に輸出するのに、香港経由でカンボジアに輸出すると偽って申告するなどした疑いがある。香港に輸出する際に、必要な検疫を受けていなかった疑いもあるという。 厚生労働省などによると、和牛を香港に輸出するには同省が衛生基準を満たしているなどとして認定した国内15の施設で食肉処理し、自治体から証明書を発行してもらうといった手続きが必要だが、カンボジアへの輸出では不要だという。このため、香港より規制が緩いカンボジアに輸出すると偽装したと県警はみている。 県警は同社が20年5月から約4年間で50回以上、約57万2千トン(輸出申告価格約44億5千万円相当)の和牛を同様に香港に不正に輸出した可能性があるとみて調べている。(小林日和、加藤美帆)