国スポ女子ホッケー主将は「交番のお巡りさん」逮捕術で体力培い、当直明け練習 古里での活躍誓う

7月末の伊吹第1グラウンド(滋賀県米原市)、酷暑の中でホッケー女子「滋賀クラブ」の練習が行われていた。村居朋香選手(23)は中盤のMFとしてチームをまとめつつ、3時間あまりの密度の濃い練習を終えた。 高校卒業後に遠ざかっていたホッケーに、昨夏復帰した。本職は警察官。普段は大津市の膳所駅前交番で「まちのお巡りさん」として勤務しつつ、国スポでの活躍を誓う。 出身は米原市。1981年のびわこ国体の舞台で、ホッケー文化が根付いた旧伊吹町周辺で育った。「地域でホッケーをする人やOBも多く、競技の知識を取り入れられることも旧伊吹町の魅力」と話す。兄の影響で小学2年から競技を始め、伊吹高2年時に出場した全国高校総体では4強入りした。 卒業後に警察官となり競技から離れたが、中学時代の恩師に誘われて復帰した。国スポに向けて結成された「滋賀クラブ」で活動する。MFは攻守を組み立てる要であり、前線へパスの供給や味方の動きを見ながらチーム全体を見渡す。 復帰の際、県警での経験が糧になった。犯人を取り押さえる際に用いる「逮捕術」の特別訓練員を経験し、厳しい訓練を通じて基礎体力を保っていた。 一方で仕事との両立には困難も伴った。米原市でのクラブの練習には月に4、5回の参加がやっと。ボールを操る感覚を失わないよう、当直明けに仮眠を取ってから練習に向かうこともある。 高校3年時、コロナ禍で国体などの大舞台が軒並み中止になった。「何のために練習してるんやろう」と晴れない気持ちが残った。就職後も競技への思いは薄れず、「チームでもう一度楽しくホッケーがしたい」と、第一線に戻る気持ちを後押しした。 国スポでは成年女子の主将を任されることになった。慣れ親しんだ伊吹のスタジアムが舞台となる。「たくさんの伊吹の人たちが支えてくれた。皆に感謝して出場したい」と胸に刻んで戦う。 (まいどなニュース/京都新聞)

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