「金を購入しないと逮捕される」 警察官かたり『金塊』をだまし取る特殊詐欺 価格高騰のウラで急増

金の小売価格が、9月に初めて1グラム1万9000円台を超えました。金の価格はここ2年で約2倍に高騰しています。警察によると、金の高騰に目をつけた特殊詐欺グループが警察官をかたり、金をだまし取る「金地金(きんじがね)詐欺」が急増しているということです。その手口とは…。 「どうもありがとうございました」 田中貴金属リテイリング心斎橋店・阪田純一さん 「ありがとうございます」 感謝状を受け取ったのは、大阪市内にある貴金属店の店員・阪田純一さんと、店長の田代健一さん。8月、80代の女性の詐欺被害を未然に防いだとして表彰されました。その、手口というのが… 「金を購入しないと逮捕される」 警察によりますと、女性は8月、「金を購入したい」と貴金属店を訪れました。対応した店員の阪田さんは、ある違和感をもったといいます。 田中貴金属リテイリング心斎橋店・阪田純一さん 「『この金をこれからどういうふうになさいますか?』 とお聞きしましたら、お答えになれなかった。お答えになっても、おどおどされると」 しばらくして、女性はこう話したといいます。 女性 「金を購入しないと逮捕される」 警察によると、女性は、警察官をかたる人物から電話で「あなたの口座が犯罪に使われている。容疑を晴らすために預金を調べる必要がある」などと言われ、約1500万円分の「金」を購入するよう指示されたというのです。 田中貴金属リテイリング心斎橋店・田代健一 店長 「守秘義務があるという形で、(犯人から)『言わないように』と言われているようですね。買いに来られる時は、詐欺のグループと信頼関係がある程度できてからいらっしゃることが多いので、私たちが説明しても、なかなか聞き入れてくれないことが多い」 こういった詐欺は、いわゆる「金地金詐欺」と呼ばれ、金の価格高騰などから近年急増している手口の1つです。 中には、大阪府内に住む80代の男性が、今年5月末から3回にわたり、時価総額 約9500万円相当の「金」をだまし取られるという被害も。 男性は、警察官をかたる男から、SNSでニセの逮捕状や「捜査機密保持誓約書」などを見せられ、男に言われるがまま「金」を購入。その後、自宅を訪れた金融庁の職員を名乗る男に、約9500万円分の「金」を渡してしまったということです。 価格の高騰も背景に、現金よりも足がつきにくいとして横行する「金」を狙った詐欺。警察は、「警察官が金の購入を指示することはない」と注意を呼びかけています。

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