美人インフルエンサーYuh Kawasakiの告白「私が特殊詐欺に騙されて681万円を失うまで」

「あのおカネがあったら何ができたか。そう考えると悔しくてたまらないです」 フリーのヘアメイクとして日本のトップアイドルや世界中のセレブを担当。これまで130ヵ国500都市以上を訪問したアメブロ認定のオフィシャルブロガー、Yuh Kawasakiさんのキラキラとした日常が暗転したのは、8月11日のことだった。 「知らない番号から電話がかかってきて、出たら『山梨県警です』と」 電話口の男はYuhさんの住所や本名を口にした後、こう続けた。 「未公開の事件であなたが訴えられている。すぐに山梨県警に来てください」 時刻は16時を回っており、山梨から遠く離れた都市で暮らしているYuhさんが山梨県警に行くのは不可能。「明日なら」と返すと、男はこうまくしたてた。 「足立努という主犯格が起こした巨大マネーロンダリング事件で、あなた名義の楽天銀行の口座が使われている。被害額は7000万円です」 特殊詐欺の典型的な手口だが、ニュースを見ないYuhさんは知らない。この数時間後、預金681万円を騙し取られるということも――。 ◆偽警察官がLINE通話で事情聴取すると提案してきて… 楽天銀行に口座は持っていたが、足立努という男に心当たりはない。ところが偽警察官は「Yuhさんの楽天銀行の口座を100万円で買い、成功報酬として700万円をYuhさんに払うことになっていた」と足立が供述している、と言う。 「足立とどういう関係なんだ?」 詰問され、いますぐ山梨県警に出頭するよう要請されるなか、偽警察官がふと、こんな提案をしてきた。「LINE通話でも事情聴取ができる」と。 「指示通りにIDを検索すると、警察っぽいアイコンのアカウントがヒット。友だち追加する前、偽警察官は『部屋には誰もいないか』と聞いてきました。『第三者がいると証拠にならない』と。その後、事件番号をメモするように言われ、″大事になった″と怖くなりました」 準備が整い、ビデオ通話に切り替えると「事件を捜査している山梨県警に転送します」と言われ、″プップップ″という転送音らしき電子音がした後、山梨県警の捜査官を自称する20代と思しき美しい女性警察官が画面に現れた。 「佐藤彩月と名乗るその女性は、自分の警察手帳を画面に大映しにした後、私にも身分証を見せるように指示しました。パスポートを画面越しに見せると、今度は私のスマホの信号調査をする、と言う。 犯人グループとやりとりがなかったか調べる、と。佐藤が『捜査室に移動します』と言った後、画面は真っ暗になりました。でも電話は繋がったままで、ドアをノックして、どこかの部屋に入る音がした。音がとにかくリアルでした」 ここで3人目の偽警察官が登場。「情報漏洩している可能性は?」と質問した。 「SHEINやTemuなどの海外通販を利用していないか、クレジットカードを紛失あるいは不正利用されたことはないか、アプリに個人情報を登録していないか、と。すべて心当たりがあり、『だから、こんな事件に巻き込まれたのか』と相手の話を信用してしまいました……」 それまでの容疑者扱いから一転、被害者として接されたことで生まれた心の隙を偽警察官は見逃さない。 「身の潔白を証明しないと、最大20日間、勾留される恐れがある」「全口座が凍結される恐れもある」とたたみかけ、犯罪に関与していないか調査するから、預金を一つの口座にまとめて送金するよう指示。 Yuhさんは所有する7口座のうち、ネットで送金できる5口座の預金をまとめ、指示された三菱UFJ銀行の岡山支店の口座に振り込んだ。総額681万円。 送金ボタンを押す前、「これ、振り込み詐欺じゃないですよね?」と問うと、偽警察官はこう返した。 「潔白が証明されたら返金します。振り込み手数料も返金するので、必ず明細をとっておいてください」 そして送金直後には、こう嘯いた。 「詐欺ならここで電話を切るでしょう?」 30分後、681万円全額を返金したという証拠のスクリーンショット(3枚目写真)を見せられた。口座名義はキンユウチョウ。ちょっと考えれば不自然さに気づくはずだが、逮捕を免れようと必死なYuhさんにその余裕はない。 「これで終わりだと思ったら、残りの2口座の残高を聞かれて、『明日10時30分に電話するから記帳して来てください』と。さらに『特定重大秘密保持誓約書』という文書(2枚目写真)を読まされ、この事件のことを家族や友達に話すのも、ネット検索することも情報漏洩にあたると禁じられました」 翌日、記帳に向かう道中、ネットバンキングで残高を確認すると0円。YouTubeにはまったく同じ手口で騙された人の動画がたくさんあがっていた。 慌てて近くの交番に駆け込み、事情を説明。その間も偽警察官からの催促のメッセージが止まらない。だが、本物の警察官は「ブロックでいいよ」と一言。淡々と被害届の説明を始めた。 「私はなぜ騙されたのか。一つは、これまで警察との接点がなかったから。警察について少しでも知識があれば、途中で『おかしい』と気づけたんじゃないか。個人情報の流出も身に覚えがありすぎて、『カードが偽造されている』と言われて、あり得るなと思ってしまった。ニュースをまったく見ていなかったのも反省点です。日頃からニュースを見ていれば、あの電話に出ていなければ……と、後悔の毎日です」 潤沢な資産を持つYuhさん。681万円の損失は痛いが、生活に困ることはない。だが、特殊詐欺による恐怖は常にある。 「犯人グループは私の住所も本名も口座も把握していて、パスポートの写しまで持っています。今後、何も起こらないとは言い切れないのです……」 せめてこの告白を、他山の石としたい。 『FRIDAY』2025年10月17号より

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