「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)の犯罪インフラを担う口座ブローカー集団が、摘発された。 警察庁の幹部は「トクリュウ対策の成果で、組織に大きな打撃を与えた」と語るが、特殊詐欺の被害は依然深刻で、対策に課題を残す。 「メガバンク、地銀、信金、仮想通貨、たくさん買い取りしています」。逮捕された西川悠輔容疑者(32)らはテレグラム上でこう宣伝していた。応じた人物をグループチャットに招待し、金融機関や暗号資産(仮想通貨)口座の開設、口座情報とひも付いたスマートフォンの用意を指示。名義人には自宅周辺での自撮り写真も要求し、「金を抜いたら追い込みかけます」と脅してもいた。 愛知県警幹部は「詐欺グループが銀行と暗号資産の口座を同時に手に入れれば被害金を一気に換金できる。口座の利便性、リスク管理と手口は巧妙だ」と語る。 自らを「雨くん69」と称した西川容疑者。他のブローカーに「雨のグループを解体すれば俺らが上に立てる」と言われるほどの規模だったが、ほぼ壊滅した。それでも、別の幹部は「被害に歯止めがかかったわけではない。他国も事情は同じで、抜本的対策には国際捜査協力が不可欠だ」と話す。