埼玉県鶴ケ島市の高齢者施設「若葉ナーシングホーム」で入居女性2人が殺害された事件で、うち1人に対する殺人容疑で逮捕された元施設職員、木村斗哉容疑者(22)が襲撃現場の5階まで階段で移動していたことが17日、捜査関係者への取材で分かった。 「職員の少ない未明の時間帯を狙った」という趣旨の供述をしていることも判明。県警は、同容疑者が施設の状況を熟知した上で行動していたとみて調べる。 捜査関係者によると、木村容疑者は約1時間の施設滞在中、入居者の小林登志子さん(89)がいた5階まで階段で移動していた。「職員にばれないようするためだった」という趣旨の話をしているといい、未明にエレベーターが稼働し、不審がられるのを避けようとしたとみられる。 木村容疑者はかつて約1年2カ月、介護士として同施設に勤務していた。「職員の少ない未明の時間帯を狙った」という趣旨の供述通り、実際、事件があった時間帯に同施設で勤務していた職員は1人だった。 木村容疑者は事件当日の15日、約23キロ離れた埼玉県熊谷市の自宅から自転車で施設を訪れていた。自転車は同日午前9時ごろ、施設から約250メートル離れた路上で身柄を確保された際、近くに止められていた。 事件は15日午前2時ごろに発生。巡回中の職員が5階の自室で倒れている小林さんと4階で切り付けられていた上井アキ子さん(89)を相次いで発見。2人とも、搬送先で死亡が確認された。施設は5階建てで、2~5階に入居者の部屋があり、60人余りが暮らしていた。