警察官を装ってうその電話をかける手口で現金をだまし取ったとして、警視庁特別捜査課は17日、特殊詐欺グループのトップら男女3人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いなどで逮捕したと発表した。暴力団員も関わってカンボジアに拠点を置き、2024年8月以降の半年間に50億円を詐取したとみられる。 逮捕されたのは、中国籍で会社員の銭凌(38)=東京都江東区辰巳1▽無職の宮代祥平(31)=住居不定▽中国籍で職業不詳の盧璐(36)=東京都中央区勝どき4――の3容疑者。 逮捕容疑は、23年9~12月、警察官をかたって宮城県登米市の男性(66)ら3人に、「口座が不正に利用されている。調査のために金を移す必要がある」とうその電話をかけ、現金3522万円や暗号資産100万円相当をだまし取ったとしている。 また盧容疑者は、だまし取った金の一部を、中国人が都内のマンションを購入する際の手付金に充てて犯罪収益を隠した疑いもある。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。 警視庁によると、グループは、マンションを買う際に多額の日本円を用意できない中国人に取り入り、代わりに日本円で手付金を支払っていた。対価として中国元を受け取ることで、マネーロンダリング(資金洗浄)をしていたとみられる。 銭容疑者は指定暴力団住吉会系組員と組んで出資者から資金を集め、カンボジアに拠点を設立。詐取金の配分も決めていたとされる。宮代容疑者はうその電話をかける「かけ子」を30人程度管理し、日本とカンボジアを行き来していたといい、盧容疑者は詐取金の送り先を別の人物に指示して資金洗浄する役割を担っていたとみられる。【長屋美乃里】