フランスの検察当局は21日、パリにある国立自然史博物館から金塊の標本を盗んだとして、中国出身の女(24)を起訴したと発表した。金塊の価値は150万ユーロ(約2億6千万円)相当に及び、女は逮捕時に溶けた金を持っていたという。 発表によると、博物館の学芸員が9月16日朝、鉱物学ギャラリーの展示ケースが破壊されているのを発見した。1833年にロシア皇帝ニコライ1世から寄贈されたウラル産の金塊や、1990年にオーストラリアで見つかった5キロ超の金塊など、計6キロの金塊がなくなっていたという。 防犯カメラの映像を解析したところ、同日午前1時ごろに何者かが博物館に侵入し、午前4時ごろに立ち去る様子が映っていた。現場付近には電動工具や溶接用のバーナーが残されていた。 女は中国に帰国しようとしていたが、9月30日にスペイン・バルセロナで身柄を確保され、フランスに引き渡された。逮捕時には、約1キロの溶けた金を捨てようとしたという。証拠を隠そうとした可能性がある。 検察当局は押収した金の分析を進めるとともに、盗まれた金塊の行方や共犯者の有無を引き続き捜査している。(パリ=坂本進)