千葉県市原市の「石野柔道塾」で教え子に性的暴行を繰り返したとして、不同意性交などの罪に問われた元塾長の石野勇太被告(33)に対し、千葉地裁は22日、懲役22年(求刑・懲役25年)の実刑判決を言い渡した。宮本聡裁判長は「塾長の立場にありながら柔道に励む被害者の純粋な気持ちを悪用し、欲求を満たすため犯行を繰り返した。悪質性は顕著だ」と指弾した。 習い事で子どもが性被害を受けるケースは絶えない。24年にも兵庫県の卓球教室の経営者が教え子にわいせつ行為をして逮捕された。 子どもの性被害に詳しい小児科医の今西洋介さんによると、大人が大きな権力を持ち、第三者の目が入りにくい塾や学校、習い事では、大人が信頼関係を利用して性加害に及ぶ「性的グルーミング」を行いやすいという。 今回の柔道塾の事件は移動中の車内や指導者の自宅が犯行現場となり、子どもたちは就寝中だった。今西さんは「宿泊する場には男性だけでなく女性も付くことは対策になる。社会的に子どもの性被害が起きにくい環境を整える必要がある」と指摘する。性被害を予防するルールを設けている習い事を選ぶことも大事という。 今西さんは性被害を受けた子どもへのケアの必要性も説く。「数年たってから心的外傷後ストレス障害の症状が出る場合もあるが、専門的に扱える医者が少ない。子どもの性被害にワンストップで対応する『チャイルドアドボカシーセンター』が米国では900カ所以上あるが、日本は2カ所だけ。子どもをサポートできる環境を整える必要がある」と語った。【林帆南】