今週米ジョージア州、テネシー州、モンタナ州の州知事が相次いで訪韓し企業関係者らと会う。韓国企業が対米投資の大口投資家となっただけに通常は州政府が投資誘致のラブコールを送る席だが、今年は雰囲気が全く異なる。先月初めに起きたジョージア州での拘禁事件の影響だ。企業は米国の関税政策と補助金縮小の懸念、強硬な移民政策など多様なリスクを考慮して高次方程式を解かなければならない立場だ。 財界によると、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事は23~25日に訪韓し、現代自動車グループ、LGエナジーソリューション、SKオン、CJフードビルなどジョージア州に生産基地を置く企業を訪問する。現代自動車の張在勲(チャン・ジェフン)副会長、LGエナジーソリューションの金東明(キム・ドンミョン)社長、SKオンの李錫熙(イ・ソクヒ)社長ら経営陣と会う見通しだ。 ジョージア州としては先月現代自動車グループとLGエナジーソリューションの合弁工場で韓国人317人が逮捕・拘禁されてから崩れた信頼を回復することが課題だ。再発防止策がなければ企業の対米投資は萎縮するほかない。ジョージア州はこの日資料を出し、ビザ問題と関連して連邦政府と緊密に協力していると明らかにした。ケンプ知事は「韓国はジョージア州の最も重要なパートナーのひとつ」と話した。 テネシー州のビル・リー知事もこの日から24日まで6年ぶりに韓国を訪れ企業と協力案を協議する。関税やビザなど企業の懸念事項を聞き、投資支援案などを話すものとみられる。テネシー州にもLGエレクトロニクス、LG化学、LGエナジーソリューション、SKオン、暁星重工業など多くの韓国企業が工場を運営または新設している。合弁工場を含め韓国企業がテネシー州に投資を約束した金額は136億ドル(約2兆円)を超える。 韓国企業はバイデン政権当時に施行したCHIPS法やインフレ抑制法の補助金の恩恵を受けるため米国に天文学的金額を投資して工場を作ったが、トランプ政権になり不確実性が大きくなった。財界関係者は「ひとまず韓米ワーキンググループ会議で短期商用ビザ(B-1)の活動範囲を公示して米国出張を再開したが、ビザ問題が根本的に解決されなければ投資は難しい。ジョージア州とテネシー州など影響力ある共和党州知事に最大限韓国企業の立場を伝えなければならない」と話した。呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長もやはり20日訪韓したモンタナ州のグレッグ・ジアンフォルテ知事と会い、根本的な解決策用意に向けた関心と支持を要請した。 不確実性は大きいが、企業の立場で米国は放棄できない市場だ。市場規模自体が大きい上に韓国の主力産業の大部分が中国と激しく競争する状況で中国を牽制する米国市場の攻略は必須のためだ。8月の韓米ビジネスラウンドテーブルに参加した企業は第2次トランプ政権で1500億ドルの対米投資執行を約束している。明知(ミョンジ)大学国際通商学科のキム・テファン教授は「投資撤回よりはむしろ米国側に要求事項を貫徹させる方向で活用するのが良いだろう」と助言した。 バッテリー業界関係者は「現地工場を運営するには各種許可と人材育成などに向け地域社会と友好的な関係を維持することが重要なため、州政府とパートナーシップを固めるのは必須」と話した。