【AFP=時事】キューバ当局に身柄を拘束された合成麻薬「フェンタニル」を米国に不正輸出する中国組織の幹部の身柄が米国に身柄を引き渡された。メキシコ政府が身柄引き渡しを支援したされる。 メキシコのオマル・ガルシア・アルフシュ治安・市民保護相によると、「王兄(Brother Wang)」の通称で知られる張志東(Zhi Dong Zhang)容疑者は2024年10月、メキシコで拘束された。マネーロンダリング(資金洗浄)の容疑で逮捕状が出ている米国への身柄引き渡し審理を待つため、首都メキシコ市の拘置所で勾留されていた。後に自宅軟禁となり、7月に逃亡した。 張容疑者は、米国が「外国テロ組織」に指定しているメキシコの麻薬組織(カルテル)「シナロア・カルテル」および「ハリスコ新世代」と緊密に連携しているとされる。 キューバ政府は、「正式な身柄引き渡し要請を受け」、麻薬密売の容疑者たちの身柄をメキシコ当局に引き渡したと述べた。 メキシコもキューバも、張容疑者がメキシコ経由で米国に引き渡されたのか、それともキューバから直接引き渡されたのかを明らかにしていない。 アルフシュ氏は昨年、張容疑者について、「主要な国際マネーロンダリング実行者」とみなされていると指摘。「中国から中米、南米、欧州、米国へフェンタニルを密輸するため、他のカルテルとのコネクションを確立した」と付け加えた。 ドナルド・トランプ大統領率いる米政権は、メキシコと中国に対し、麻薬、特にフェンタニルの密売を抑制するよう圧力をかけてきた。 フェンタニルは合成オピオイドで、ヘロインの50倍の効力を有する上、生成がはるかに容易で安価だ。米国では、オキシコドンなどのオピオイド系鎮痛剤やヘロインに取って代わり、フェンタニルが過剰摂取の原因となっている。 クラウディア・シェインバウム大統領率いるメキシコ政権は、トランプ氏からの関税圧力を受け、麻薬の取り締まりを強化している。トランプ氏は、問題が解決されなければさらなる懲罰措置を講じると警告している。 米国で販売されるフェンタニルの主な供給源はメキシコだったが、米政府は今、中国に拠点を置く原料供給業者にますます焦点を絞っている。【翻訳編集】 AFPBB News