米国、コロンビア大統領に制裁

(CNN) 米財務省は24日、コロンビアのペトロ大統領に対し制裁を科すと発表した。ペトロ氏が「世界的な違法薬物取引に関与した」としている。同氏の妻と息子、そしてコロンビアの内相も制裁対象となっている。 ベッセント米財務長官は声明で、「グスタボ・ペトロ大統領の就任以来、コロンビアのコカイン生産量は数十年ぶりの高水準にまで急増した。それらは米国に流入し、米国民を中毒に陥れている」と述べた。 これまでこうした告発を否定してきたペトロ氏はこの発表に迅速に反応。X(旧ツイッター)への投稿で、米国人弁護士を雇用し、制裁に対抗する意向を示した。 ペトロ氏はまた、数十年にわたる麻薬密売との闘いで成果を上げた結果、コロンビアは米国でのコカイン消費の抑制に多大な貢献をしたと主張。そのような国の政府から制裁措置を受けるのは「全く矛盾している」としつつ、「一歩も後退せず、決して屈服するつもりはない」と述べた。 ペトロ政権とトランプ米大統領の間の緊張は数カ月にわたり高まっている。特に米国が南カリブ海での軍事活動を活発化させて以来、その傾向が顕著だ。 ペトロ氏はこの地域での麻薬運搬船とされる船舶に対する米軍の攻撃を厳しく批判。米国を「殺人者」と非難している。また、攻撃された船舶の中には罪のないコロンビア人を乗せた船舶もあったと示唆している。 過去2カ月の間、カリブ海で行われた米軍の攻撃のうち少なくとも1回は、コロンビアを出港した船舶に乗っていたコロンビア人を標的としていた。米国防総省から説明を受けた2人の関係者が今月初め、CNNに対し明らかにした。また潜水艇への別の攻撃では2人が生存し、そのうち1人はコロンビア人だった。 コロンビアは長年、国家安全保障と防衛の面で南米における米国の最も信頼できる同盟国だった。2022年、当時のバイデン政権はコロンビアを「北大西洋条約機構(NATO)に属さない主要な同盟国」に指定していた。 CNNはコロンビア大統領府にさらなるコメントを求めている。 コロンビアのベネデッティ内相もXへの投稿で制裁措置を批判。「麻薬密売人の家に入ったことは一度もない」と主張した。 ペトロ氏の息子ニコラス氏は、投稿の中で、今回の動きを「前例のない政治的・司法的迫害」と呼び、「私の権利を守るために国際機関に頼る」と述べた。 米財務省は、ニコラス氏が23年にコロンビアで「マネーロンダリング(資金洗浄)と不正蓄財の疑いで逮捕された」と発表。麻薬密売人から受け取った資金をグスタボ・ペトロ氏の選挙運動などに流用した疑いで逮捕されたとしている。ニコラス氏はこれに反論し、当該の事件については麻薬密売や大統領選とは一切関係がないと検察が明言したと述べている。

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