トランプ米大統領の来日へ厳戒態勢 「最高レベル」警備に1.8万人

米国のトランプ大統領の27日からの来日に合わせ、警察当局は警備を強化している。その警備は海外要人の中でも「最高レベル」(警察幹部)とされる一方、直前には米大使館付近で刃物を持った男性が逮捕される事件もあった。滞在期間中、東京都内では最大1万8000人の警察官が投入され、過去最大規模の厳戒態勢が敷かれる。 26日、東京都港区の米大使館周辺では、多くの制服警察官が巡回する中、車の検問が実施されていた。24日には職務質問された男性が包丁とナイフを取り出して警察官に向ける事件が起き、一帯は一時騒然となった。トランプ氏の来日とは無関係だったとみられるが、「万が一」を防ぐため、警察官らは通行人への声がけや職務質問を強化する。 交通規制も実施される。来日期間中の27~29日、首都高速道路や一般道の一部では、トランプ氏の移動に応じて規制や検問がある。混雑が予想されるため、警視庁は公共交通機関の利用を呼びかけている。 警察が特に神経をとがらせるのが、単独でテロを実行する「ローンオフェンダー(LO)」だ。2022年の安倍晋三元首相銃撃や、23年の岸田文雄首相(当時)襲撃事件は、LOによるものとされる。 警視庁はLO対策として交流サイト(SNS)上でテロの「兆し」に関する情報を集めるほか、大統領の訪問先に機動隊のバスを壁のように並べ、緊急時対応部隊を待機させる。ドローンを使った空からの襲撃に備え、ジャミング(電波妨害)装置を使う専門部隊も配置する。 一方、米側も独自の警備態勢をとる。伝統的に「首脳の命は自分たちで守る」とのスタンスで、今回も「ビースト(野獣)」と呼ばれる専用車や専用ヘリコプターが持ち込まれるとみられる。トランプ氏には米大統領警護隊(シークレットサービス)が張り付き、警視庁の専門の警護員「SP(セキュリティーポリス)」はその周辺を警戒することになる。【木下翔太郎】

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