ドイツに広がる中国スパイ、実行犯は誰?「千粒の砂」とは誰のこと?日本が取り組むべき4つ課題とは

2025年9月30日付ウォール・ストリート・ジャーナルは、ドイツにおける中国のスパイ活動を指摘し、貿易やウクライナ問題に関する欧州の懸念に対し、中国が無関心であることに欧州諸国は不満を強めているとする記事を掲載している。 9月30日、ドレスデン裁判所は、中国出身のドイツ国籍者ゴウ・ジエン被告に対しスパイ罪で懲役4年9カ月の実刑判決を言い渡した。裁判所は、ゴウ・ジエンが 07年から中国情報機関のために活動していたと認定した。裁判所によると、被告はスパイとして欧州内にいる体制批判派を特定・監視し、身体的危険をもたらしていたという。 昨年4月の逮捕当時、被告は極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)所属の欧州議会議員だったマクシミリアン・クラーの補佐官を務めていた。クラーは現在ドイツ連邦議会の議員である。 クラーは、元補佐官のスパイ活動について知らなかったと述べた。「彼に対する有罪判決は驚きではない…今最も重要なのは、私が被害者となったスパイ活動の真相解明だ」とクラー氏はSNSに投稿した。 トランプ大統領の関税政策が中国製品の米国市場へのアクセスを制限して以来、中国は欧州に安価な輸出品を大量に流入させ、欧州製造業に圧力をかけている。中国はまた、ロシアのウクライナ侵攻に対する物的支援を露骨に行っている。 9月、習近平は、ロシアのプーチン大統領を「古くからの友人」と呼んで北京に招いた。欧州連合(EU)の貿易上の懸念に対する中国の無関心、そしてウクライナでの和平合意に向けてプーチンに圧力をかけることに習近平が消極的なことに対して、欧州諸国は不満を強めている。ドイツ当局によると、中国を厳しく批判する選挙運動を経て 5月にドイツ首相になったメルツは、年末までに北京を初訪問する見通しだ。 ドレスデン裁判所は、ゴウ・ジエンが反体制派の人物をスパイしたことに加え、議会職員としての権限を利用して、AfDや欧州議会議員に関する情報を収集していたことを突き止めた。起訴状によると、ゴウ・ジエンは議会職員として勤務していた際、非常に機密性の高いものも含め500件以上の文書を入手していたという。 「ゴウ・ジエンは物流会社に勤務していた中国国籍のヤキ・Xを説得し、ドイツ東部にあるライプツィヒ空港を経由する貨物・乗客に関する情報を提供させた」と裁判所広報官は述べた。検察によると、提供された情報は、主に軍事装備、部隊、戦闘用ドローンの輸送、およびイスラエルへの武器供給に関するものだった。

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