「銃撃から逃れるために駅に入りました」と語るリオの住民

10月28日(火)、リオデジャネイロ市のペーニャおよびアレマォン複合地域において実行された大規模な警察の作戦により、市民は極度の恐怖と緊張の瞬間を経験した。 作戦の結果、60人以上が死亡し、80人が逮捕された。市内の道路が封鎖された影響で、数千人が帰宅困難に陥り、銃撃戦から逃れるために避難を余儀なくされた。 午後には地下鉄駅やバス停が人で溢れかえり、混乱が広がった。リオ州軍警察(PM)によると、犯罪組織「コマンド・ヴェルメーリョ」の構成員らが市内の主要幹線道路を封鎖するよう指示を受けていたという。 教員のマリージ・フロール氏は、帰宅のためにバスに乗車した際、銃撃戦の真っただ中に巻き込まれたと証言している。息子が車で迎えに来ようとしたものの、道路封鎖のため現場に到達できなかったという。 フロール氏は犯罪組織によって設置されたバリケードの影響で、西部ジャカレパグア地区のトランスオリンピカ幹線道路に位置するオウテイロ・サント駅で下車を余儀なくされた。 彼女によると、現場に到着した軍警察は、現地にとどまる住民らを強制的に退去させるために発砲したという。発砲の瞬間、フロール氏は身の危険を感じ、駅構内へと再び避難した。 「銃撃から身を隠すため、改札機の下をくぐって駅に戻りました」(マリージ・フロールさん) 教員のマリージ・フロール氏は、銃撃戦の混乱から逃れるため、配車アプリで車を呼ぼうと試みたが、すぐには移動できなかったという。 「それでもなんとか駅を出ることができ、息子が迎えに来てくれて、なんとか帰宅できました」(マリージ・フロールさん) 極度の緊張と恐怖にさらされた状況は、同氏の身体にも影響を及ぼした。 「その後、胃が痛くなりました。気が緩んだ瞬間、崩れ落ちて、泣き崩れてしまいました」と、マリージ・フロール氏は当時の心身の状態を振り返った。 リオ市北部エンジェーニョ・ノーヴォ地区のスーパーマーケットでアイスクリーム売り場を担当するマリアナ・コルベールさん(24歳、妊娠4か月)は、28日午前8時30分の時点で、自宅のあるエンジェーニョ・ダ・ハイーニャ地区の通りがすでに封鎖されていたと語った。 マリアナさんによると、道路には3台のバスが横倒しにされており、市内では50台以上のバスがバリケードとして使用されたという。 コルベールさんは、徒歩でイニャウマ地区まで移動し、そこから職場へ向かうバスに乗車。運転手は、警察の大規模作戦の対象となっている「コマンド・ヴェルメーリョ」が支配する地域を避けるため、ルートを変更した。 「職場に着くまで1時間かかりましたが、なんとか間に合いました。多くの人が出勤できず、店もかなり閉まっていました。午後4時に業務を終え、Uberを使って帰宅しました。料金は高めでしたが、早く帰れました。帰宅時には道路はすでに解放されていて、街には警察が多数展開していました」(マリアナ・コルベールさん) リオデジャネイロ州政府によると、同州は現在、過去15年間で最大規模となる掃討作戦を実施している。 今回の作戦では、アレマォンおよびペーニャの複合居住区において、犯罪組織「コマンド・ヴェルメーリョ」の指導者の逮捕および勢力拡大の阻止を目的に、州警察および軍警察から計2,500人が動員された。 10月28日時点で少なくとも64人の死亡が確認されており、2021年にジャカレジーニョ地区で発生した28人が死亡した作戦を上回り、これまでで最も死者数の多い掃討作戦となっている。 (記事提供/Agencia Brasil、構成/麻生雅人)

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