映画のヒーローか冷酷な殺人者か、「伝説の」保安官に浮上した妻射殺疑惑 テネシー州の郡が直面する闇

(CNN) デニス・ハスコック氏(75)は、保安官ビュフォード・パッサーの伝説を一瞬たりとも信じたことはなかったという。 ハスコック氏が生まれてからずっと暮らしてきたテネシー州南西部のマクネアリー郡では、多くの人々がパッサーを地元の英雄としてたたえているが、ハスコック氏の考えは違った。 ハスコック氏は、汚職や組織犯罪と戦う勇敢な保安官というパッサーのイメージを信じたことはなかった。また1973年のヒット映画「ウォーキング・トール」やその続編の中で、正義感あふれる保安官として活躍したパッサーの姿も受け入れなかった。 長い年月の間にパッサーの実際の人物像と映画の中で描かれた姿との境界があいまいになり、事実と虚構を区別するのが難しくなっているとハスコック氏は言う。 パッサーの死から50年以上が経過したが、パッサーの故郷であるテネシー州アダムズビルでは今でも彼の存在感は健在で、パッサーの生涯にまつわる品々を展示する博物館があったり、毎年、彼の功績をたたえる祭りも開催されている。 そのため、先日明らかになったパッサーに関する衝撃的事実は、その地域に大きな動揺をもたらした。 州の捜査当局は、1967年8月12日未明に起きた、パッサーの妻ポーリーンが犠牲となった待ち伏せ襲撃事件は、実はパッサー自身が仕組んだものだと主張している。 当時パッサーは当局に、自分の犯罪取り締まりに怒った武装集団が、田舎道で彼の車に横づけし、彼と妻に発砲したと説明した。妻のポーリーン・マリンズ・パッサーは致命傷を負い、パッサー自身も顎(あご)を撃たれた。 しかし現在、捜査当局はその事件についてのパッサーの説明は事実ではないと主張しており、検察当局は記者会見で、パッサーが自ら妻を射殺し、その後自分も負傷したように偽装したと考えていると述べた。

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