名古屋市西区のアパートの一室で1999年、住人の高羽奈美子さん(当時32)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕されたアルバイト安福久美子容疑者(69)=同市港区=が、逮捕されるまでの約26年間について「毎日不安だった。事件の発生日ごろになると気持ちも落ち込んだ」と話していることが3日、愛知県警への取材でわかった。 県警は今年8月以降、安福容疑者を複数回聴取し、DNA型の任意提出を求めていたが拒否されていた。その後、安福容疑者は10月30日にDNA型の提出に応じ、同日中に県警西署に出頭。容疑者は捜査の動きに関し、「8月に警察が来て、捕まってしまうと覚悟した」と話しているという。 県警によると、安福容疑者の逮捕容疑は、99年11月13日ごろ、名古屋市西区稲生町5丁目のアパートの一室で、高羽さんの首などを刃物で複数回刺すなどして失血死させたというもの。 安福容疑者は容疑を認め、「奈美子さんに申し訳ないと思っている」と謝罪の気持ちも述べているという。また、「26年間、毎日不安だった」「事件の発生日ごろになると悩んで気持ちも落ち込んだ。だが、家族に迷惑をかけられないし、捕まるのが嫌だった」と話しているという。 安福容疑者は10月の出頭時、名古屋市内のスーパーで事務員のアルバイトをしていたことも判明した。県警は、容疑者が家族や勤務先など周囲に事件のことを話すことなく、約26年間を過ごしてきたとみている。(高橋俊成)