【わいせつ偽カメラマン・前編】「どの口が言うのか」…被告が裁判で語った驚きの〝将来〟とは

「(性)加害を未然に防ぐ団体に協力をしたいと思っております」 カメラマンと称して「写真を撮らせてください」と女子中学生に声をかけ、わいせつな行為をしたとされる山田裕三(ひろみ)被告(事件当時55歳)は、9月30日に開かれた第7回公判の最終陳述で更生後にやりたいことについてこう述べていた。 11月6日、不同意わいせつの罪に問われている山田被告に東京地裁で判決が言い渡される。これまでの公判で明らかにされた山田被告の犯行と、それに対する主張などについて振り返りたい。 「1年前の’24年11月5日、警視庁池袋署はわいせつ誘拐と不同意性交等の疑いで、さいたま市の無職・山田被告を逮捕しました。山田被告は8月中旬に豊島区内の公園に女子中学生Aさん(当時13歳)を連れ込み、性的暴行を加えた疑いです。 山田被告は1人で歩いていたAさんに『スタイルがいいから写真を撮らせて』などと声をかけ、数ヵ所の公園で写真を撮影し、最後に訪れた公園で犯行に及びました。山田被告はわいせつな行為をしたことは認めていますが、性的暴行は加えていないと一部、否認をしています」(全国紙社会部記者) 山田被告が逮捕・起訴されたのは今回が初めてではない。 「’23年7月にも2人の女子中学生に『写真を撮ってもいいですか?』と声をかけ、さいたま市内の公園でポーズを指定するとみせかけて体を触ったとして、強制わいせつの疑いで逮捕されています。そして、同年10月19日に迷惑防止条例違反で懲役1年2ヵ月、保護観察付き執行猶予4年の判決を受けました。今回は執行猶予中に同じような犯行に及んだことになります」(同前) 山田被告は池袋のアニメショップに出入りし、通称「乙女ロード」で、声をかけていたという。公判では、「(アニメショップに)好みの子が多い」と述べている。 山田被告に声をかけられたときのことを、証人尋問で出廷したAさんは次のように話していた。(6月26日・第5回公判) 「アニメショップに向かっていると、リュックを背負った知らない男性に『時間ある?』と聞かれました。『自分はモデルの写真を撮る仕事をしている。顔は写さないから、そこの公園で写真を撮らせてほしい』と少し早口のタメ口で言われました。そして、年齢を聞かれたので、『中学生です』と答えました」 Aさんは断ることができず、写真撮影に応じてしまう。Aさんの母親は証人尋問で「娘は性格的にやさしいので、見ず知らずの大人にはっきりと『嫌です』というのが難しい性格だと思います」と述べている。 山田被告は被告人質問でこの日のことをこう話している(8月19日・第6回公判)。 「(Aさんは)初めは嫌がっていたんですが、『顔とかは撮らないで、首から下だけでもいいから』と話していると、『少しだったらいいですよ』という感じになりました。年齢は聞いたかどうか覚えていません。見た目で高校生くらいかなと思っていましたが、子どもみたいに見える20歳もいるので、あまり年齢は気にしていませんでした」 山田被告に連れられて近くの公園に移動し、そこで撮影が行われたという。 「男性は、自分が撮った過去の写真を見せてきました。顔が写ってない女の子やマスクを着けて全身を撮られている写真もありました。顔が写ってない写真を見せながら、『こんなふうに撮るよ』と言ってきました」(Aさん) 数枚、写真を撮られた後、山田被告に促されるままに別の公園に移動することとなった。移動中に山田被告は、Aさんがバッグにつけていたキャラクターのバッジを見て、「さっき会った子も同じようなバッジをつけていたよ」などと話しかけてきたという。 そして2ヵ所目の公園で、Aさんは山田被告から驚くべきものを見せられたのだった。 ◆被告が法廷で語った驚愕の「将来のビジョン」 「まず2人でベンチに座りました。するとスマホを差し出してきて、『ここに名前を打ち込んで、この名前の上にある事項を許可するか、読んで』と言われました。そこには、『親や知り合い、友達などには絶対に言わない』『頭のてっぺんからつま先まで、隅々まで写真を撮ることと触ることを許可する』というようなことが書かれていたのです。 これはそうとうにヤバいなと思って、家に帰ったらとにかく両親に伝えようと思いながら、偽名でサインしました」(Aさん) 山田被告がこの同意書のようなものを考えだしたのは、’23年7月の逮捕がきっかけだったようだ。山田被告はこの同意書について、こう述べている(8月19日・第6回公判)。 「ジャケットやスカートを直したりするときにお尻など体に触れてしまうことがあって、一昨年(の逮捕で)、注意されましたので、許可を得るためにサインをもらうようにしていました。撮影目的以外で、触ることはありません。Aさんに名前を書いてもらって、これでいろいろ撮影できるんじゃないかとワクワクしました」 数枚、写真を撮った後、再び別の公園に移動することになった。検察官の「ヤバいと思ったのに、逃げようとは考えなかったのか」という質問にAさんはこう答えていた。 「(山田被告が)足が速いのか遅いのかわからなかったので、逃げて捕まったらどうなるんだろうという恐怖から、逃げられませんでした」 Aさんは3ヵ所目に訪れた公園でトイレに連れ込まれ、「靴下以外、全部脱いで」と言われた。「それは無理です」とAさんが断ると、2ヵ所目の公園に戻り、そこで服の中に手を入れられ、下半身など体を触られる被害に遭ったという。山田被告は太ももやふくらはぎなどを触ったことは認めているが、下半身を触ってはいないと主張している。 山田被告は、公判ではAさんやその保護者に対して謝罪の言葉を口にした。また被告人質問では、弁護人の「将来やりたいことはあるか」という質問に、冒頭の最終陳述と同じような言葉を述べていた。 「NPO法人で、未来の被害者や加害者を減らす運動をやってみたいと考えています。私自身の経験を活かして、『こういう容姿の子は、こういうふうに誘われやすい』とか、講演や文章で発信したいなと思っています」 前回の逮捕の経験から、同意書を作るなどの姑息な手口を用いてまで今回の犯行に及んだ山田被告。そんな人間がいきなり犯罪を防ぐ側に回ったとしても、誰も信用することはできないだろう。 山田被告は被告人質問では笑顔を見せ、おどけた口調で答えることもあった。そんな被告の犯行に、被害に遭った娘を心配するAさんの保護者は怒りをあらわにしていた。 【後編】では、反省が感じられない被告の態度に、怒りをあらわにしたAさんの母親の言葉などについて書いている。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:中平良

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加