埼玉県所沢市の職員が親族14人のマイナンバーを不正に集めて自身の扶養に入れていた事件で、県警は7日、東京都八王子市の元所沢市職員、田中海斗被告(31)=マイナンバー法違反罪などで公判中=を詐欺と地方税法違反(脱税)の疑いで追送検した。捜査関係者への取材で判明した。扶養親族を不正に水増しし、住民税や保育料を減額していたとみられる。 追送検容疑は2023~24年、不正収集したマイナンバーを利用してうその扶養親族を記入した申告書を所沢市に提出。住民税や保育料を減額し、差額の受け取りなどを通じて計約202万円をだまし取ったり、脱税したりしたとしている。容疑を認め、「保育料が高いと感じ、安くするために扶養を増やす方法を考えた」と話しているという。 捜査関係者によると、事件当時、田中容疑者は市民税課の主任でマイナンバーを閲覧する権限があった。不正に集めたマイナンバーから親族の収入や扶養の状況を調べて、無断で自身と妻の扶養親族にしていたとみられる。7月にマイナンバー法違反(不正収集)容疑で逮捕されていた。 18~24年度のうち20年度を除く6年間で、親族14人を年度ごとに入れ替えながら、のべ40人を虚偽で扶養に入れていた。県警は、住民税の扶養控除の水増しが脱税容疑、税の還付金などの受け取りが詐欺容疑に相当すると判断した。【板鼻歳也】