「女性が1人で歩いているのを見かけて、体を触りたくなった」 釈放されたその日に、帰宅途中の女子中学生に暴行を加えた男は、こんな呆れた動機を口にしたという。 「10月21日、埼玉県警は住所不定の平野悠容疑者(23)を暴行容疑で逮捕しました。平野容疑者は20日の夕方、さいたま市内のマンション敷地内で帰宅途中だった女子中学生に後ろから近づき、『殺すよ』と脅しながら口を押さえ、首に手を巻きつけて引き倒し、軽傷を負わせましたが、抵抗されたために逃走。 その後、被害にあった女子中学生の父親が『娘が男から口をふさがれ、殺すと言われた』と110番したことで事件が発覚。翌日、逮捕されました」(社会部記者) 23日朝、平野容疑者は不同意わいせつ致傷の疑いでさいたま地検に身柄を送られた。警察署を出た護送車が公道に出る前に一時停止すると、10人ほどのカメラマンが取り囲んだが、平野容疑者は目を閉じてうつむき、微動だにしなかった。 前出の社会部記者が解説する。 「犯行当日、平野容疑者は別の事件での公判を終え、釈放されたばかりでした。前橋地裁太田支部で性的姿態等撮影やストーカー規制法違反などの罪で拘禁刑2年6ヵ月、執行猶予5年の有罪判決を受けていたのです。東武鉄道太田駅から電車でさいたま市内に移動した際に女子中学生が目に入り、体を触ろうと数分間にわたってあとをつけたと見られています」 ◆「共連れ」による犯罪被害を防ぐには 平野容疑者は女子中学生のあとをピタリとついていってオートロックを通過する「共連れ」と呼ばれる手口でマンション敷地内に侵入していた。「共連れ」による事件と言えば、記憶に新しいのが今年8月に兵庫県神戸市で24歳の女性が自宅マンションで刺殺された事件だ。 「共連れ」を防ぐためにはどうすればいいか。防犯アドバイザーの松丸俊彦氏に聞いた(以下「」は松丸氏)。 「まず、誰かついてきていないか。そこに気づくのが大切です。スマホを見ながら歩くと、周囲に注意をはらえないので危ない。その上音楽を聞きながら歩きスマホをしていると、物音が聞こえないので危険度はさらに増します。 マンション内のオートロックを入る際に不審者が一緒に入ってきてしまったら、電話をかけるふりをしながら、エレベーターに乗らないでください。エレベーターで2人きりになってしまった場合、勘違いだったら申し訳ないからと気を遣ってしまう人もいるでしょう。そういう方は相手を一度見た後視界に置きながら、『こんばんは』『何階ですか』と声をかければいい。犯罪を考えている人間は顔を見られることを嫌がりますから。 もし、不審者が自宅前までついてきて、家に誰もいない状況だったら、絶対に自宅の鍵を開けてはいけません。自宅に押し込まれる可能性があります。やはり電話をかけるふりをしながら、隣の家の前に移動したりエレベーター方向に戻ってください。 備えとしてぜひ持っていていただきたいのが防犯ブザーです。パトカーのサイレンの音と同じくらい大きさの110デシベルのものをバッグの外ポケットの中などに入れておいて、危ないと感じたらためらわず鳴らしてください。防犯ブザーを持ち歩き、“何かあったら鳴らす”という意識が頭の片隅にあるだけでも、自然と防犯意識が高まります」 神戸の事件のように殺人まで犯す不審者の場合、防犯ブザーではひるまない可能性もある。さらなる備えを松丸氏が指南する。 「普段から通勤、通学経路のどこにコンビニなど人が集まる場所があるかを把握しておいてください。もし誰かにつけられていると感じたら、そのコンビニで時間を潰す。それでもつけてきた人物が外で待っていたら、そのときは躊躇せず110番通報してください」 普段から“危険を感じたらやるべきこと”を決めておき、ある程度のシミュレーションをしておけば、平野容疑者のような卑劣な犯罪者から身を守る一助になるはずだ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:中平良