外免切替で飲酒ひき逃げ中国人、執行猶予4つの理由「一切運転しない」見舞金など情状酌量 「移民」と日本人

母国の運転免許を日本の免許へ切り替えられる「外国免許切替(外免切替)」で免許を得ていた中国人男が5月、埼玉県三郷市で飲酒運転し小学生4人をひき逃げした事故の判決公判がさいたま地裁支部で開かれ、執行猶予つきの有罪判決が下った。同時期に起きた新名神高速道路での逆走事故を起こしたペルー人男も外免切替の飲酒運転で、両事故は外免切替厳格化のきっかけの一つにもなった。中国人男の判決で、地裁支部は被害者へ見舞金を支払ったことなど4点を情状酌量として挙げた。 ■「相応の損害賠償の見込み」 自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われたのは、三郷市に住む中国籍の解体工、鄧洪鵬(とう・こうほう)被告(43)。さいたま地裁越谷支部(奥山拓哉裁判官)は今月13日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 奥山裁判官は量刑理由で「危険な飲酒運転をする必要性、緊急性は全くなかった」「犯行全体の経緯に被告の有利に酌むべき事情はない」と指摘した一方、情状酌量として事故の態様や被害者らの傷害の程度などに加え、次の4点を列挙した。 ・鄧被告が被害者らのうち3人に見舞金として計190万円を支払い、それぞれから「宥恕(相手方の非行を許容する感情の表示)」を得ていること。 ・被害者ら3人に対し任意保険を利用して相応の損害賠償がなされる見込みがあること(1人については合意書で清算合意ずみ)。 ・鄧被告には日本国内での前科がないこと。 ・事実を認めて反省の意を示し、今後は一切車を運転しない旨を述べていること。 ■ペルー男も外免切替で飲酒運転 判決によると、鄧被告は5月14日、酒を飲んだ後に運転し、三郷市の市道で小学生の列に車を衝突させ、男児4人に重軽傷を負わせたのに救護せず逃走、飲酒運転の発覚を免れようとした。 鄧被告の事故の4日後の5月18日、三重県亀山市の新名神高速で、乗用車が逆走し6人が負傷した事故が発生。ペルー国籍の無職男(35)が逮捕され、津地裁は10月8日、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(酒気帯び運転など)の罪で懲役1年6月(求刑懲役3年)の実刑判決を言い渡した。 ペルー国籍の男も外免切替で免許を得ており、飲酒運転だった。判決では、男が車をいったん停止させながら、警察車両を見て飲酒運転が発覚するのを恐れ、再び逆走し事故を引き起こしたとし、「身勝手で強い非難に値する」と断罪した。

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