奈良市で2004年、小学1年だった有山楓(かえで)さん(当時7歳)が誘拐・殺害された事件は17日で発生から21年となり、楓さんが通っていた市立富雄北小では追悼行事「いのちの集会」が開かれた。参加者は理不尽に命を奪われた楓さんを悼み、事件の悲しみを次の世代へ伝えていくことを誓った。 楓さんは2004年11月17日、下校中に行方不明となり、18日深夜に平群町内で遺体が見つかった。県警は楓さんを誘拐・殺害したとして同年12月に小林薫元死刑囚(13年2月に執行)を逮捕した。 集会は事件の翌年から毎年開かれている。今年は児童386人の他、下校時の見守り活動を続けてきた地域住民や保護者ら30人も参加。冒頭に楓さんへ黙とうがささげられ、事件当時の校長から楓さんの父茂樹さん(51)に贈られた鐘が7回、楓さんの生きた年に合わせて鳴らされた。 集会では、当時富雄北小6年だった品川優人さん(33)が講演した。事件の翌日は上空を飛び交うヘリコプターの音で目が覚めたといい「何か大変なことが起きたに違いない」と不安だったという。登校すると校長から楓さんが行方不明となり、遺体で見つかったと聞かされた。「普段は騒がしかったクラスが、誰も話さないほど静まりかえった」。その年から始まった集団登下校が今も続いていることに触れ、「同じ悲しみを繰り返さぬよう、地域の方や先生方が安全のバトンをつないでくれた。そのバトンは、みなさんの手に渡っていく」と、児童らに語りかけた。 最後に児童の代表が登壇し、命を大切にする取り組みを全校生徒で続けることを改めて誓った。【田辺泰裕、喜多瑞輝】