謙虚さ原動力 難事件を解決 「近畿の警察官」に滋賀県警木之本署の山中英樹警部補

近畿2府4県の優秀な警察官をたたえる第139回「近畿の警察官」(産経新聞社提唱、滋賀県信用金庫協会など協賛)に、滋賀県警からは木之本署生活安全刑事課の山中英樹警部補(56)が選ばれた。37年8カ月に及ぶ警察人生のうち25年余にわたる生活安全部門での活躍や、課を超えた職員からの厚い信頼などが評価された。 ■周りの強いすすめ 県立長浜北高校を卒業後、昭和63年4月に警察官となった。ただ、強い志を持っていたわけではない。 「公務員ということと、周りの強いすすめがあったから。高校時代は柔道部で並み以上の体力はあったが、犯罪をなくすなどの強い意志は当時はなかった」 ただ、警察官になって以降の活躍は目覚ましい。少年グループによる連続恐喝事件(平成17年)、軽油密造グループによる廃棄物処理法違反事件(同)、商標法違反事件(令和5年)など数々の難事件を解決してきた。 特に思い入れがあるのは長浜署生活安全課主任として勤務していた平成27年の少年による傷害致死事件。長浜市の琵琶湖で少年4人が遊んでいて1人が溺死した。当初は「みんなで飛び込み、助けられなかった」と供述したが、「泳げないのに突き落とした」との目撃情報があり、傷害致死容疑で逮捕された少年の取調官を担当した。 「遺族の思い、訴えもあり、プレッシャーもあったが、ぎりぎりで自供を得られた。取調官冥利(みょうり)に尽きるし、やりがいを感じた」 ■ありがたい毎日 責任感が強く、真面目で温厚な人柄と評されるが、それ以上に謙虚さが際立つ。 「普通は仕事して『当たり前や』で終わり。でも、警察官は仕事をしていて『ありがとう』といわれることが多い仕事なので、そういう意味で本当にいい仕事だと思っている」 しみじみと話す言葉に謙虚さがにじみ出る。この謙虚さを原動力として難事件を解決に導いてきた。そして、この謙虚さは、妻の幸代さん(57)に対しても変わらない。 「今は働き方改革で代休も取れるが、昔はそうではなかったので、家のことはまかせっきりだった。ずっと妻には頭はあがらない。今も毎日、ご飯を作ってくれて、温かいお風呂にも入れる。お弁当も作ってくれる。当たり前のことが毎日ありがたいなと思う」

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