ルーブル窃盗事件の容疑者は「日雇いで子どもがいた」──自称・従兄弟がニュース番組で証言

ルーブル美術館強盗事件の容疑者の1人の従兄弟が11月14日、ABCニュースのインタビューに応じ、容疑者の素性を語った。 10月19日に起きた同事件では、10月25日にいずれも30代で、パリのセーヌ=サン=ドニ県出身のタクシー運転手と配達員兼ゴミ収集作業員の2人を逮捕。うち1人は、パリ=シャルル・ド・ゴール空港でアルジェリア行きの便に搭乗しようとしていた。その後10月29日、パリ検察庁は新たに5人の身柄を拘束し、これまでに7人を逮捕したと明かした。捕らえられた人物のうち2人は、2人の子どもを持つ男女のカップルで、女性は最近警察の拘留から解放され、11月12日に司法監督下に置かれたと報じられている。最近では、逮捕者のうちの1人の名前がアブドゥライェ・Nであると明かされた。 そんな中、容疑者のうちの1人の従兄弟を名乗るメディという人物が、ABCニュースのジェームズ・ロングマンによるテレビ特番「Impact x Nightline」の独占インタビューに応じた。メディは従兄弟について、「果物店などで日雇いの仕事をしていた。勤勉で、養うべき子どももいた」と語った。 メディは、従兄弟がなぜルーブル美術館を襲ったのかについては回答しなかったが、「もし彼が事件を起こす前に話す機会があったなら──本当に彼がやったのだとしたら、あくまで仮定の話だけれど」と前置きをした上で、こう続けた。 「その宝石はお前のもの(=フランス人みんなのもの)であり、お前の遺産(=フランス人の遺産)なんだ。欲しいなら、美術館に行けばいい。窓から侵入する必要などないんだ」 10月19日日曜日の朝に起こったルーブル美術館の強盗事件は、8分足らずでギャラリー・アポロンからナポレオン時代の宝飾品、約8800万ユーロ(約155億円)相当が盗まれた。持ち出されたのは9点で、犯人らが逃走中にウジェニー皇后が所有していたティアラ1点を落としているが、残り8点はまだ見つかっていない。 ラシダ・ダティ文化相はルーブル美術館のセキュリティ体制について、近日中に新しい監視カメラが設置されると明言している。だが、11月6日にフランスの国家会計検査院(Cour des Comptes)が発表した、ルーブル美術館のセキュリティなどの政策に対して2018年から2024年まで調査した報告書によれば、セキュリティシステムの全面更新は「2032年まで終わる見込みはない」という。 「規模・大胆さ・象徴性」の点で「ルーブル史上最大級」とも言われる今回の強盗事件は、フランスの多くの人々が国家の誇りに対する傷と見なしているように、前述のメディも動揺を隠せなかった。彼はABCニュースのインタビューで、「私のフランスの遺産、ナポレオンの歴史が傷つけられました。自分の国のために腹が立ちます」と語った。

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