ヨルダン川西岸地区での入植者襲撃、過去最多を記録 イスラエル軍も「一線を越えた」と非難

イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で、過去6週間にわたり、パレスチナ人の村や農場に対するイスラエル入植者による襲撃が増加している。 現地はオリーブの収穫期にあたり、各地の農地にパレスチナ人が集まるタイミング。国連人道問題調整事務所(OCHA)の記録によると、パレスチナ人に死傷者や資産被害をもたらした入植者による攻撃は10月だけで260件以上に上り、2006年の監視開始以来で最多となった。 アファフ・アブ・アリアさん(55)は、アブ・ファラ村近くの借地でオリーブを収穫した後、入植者による襲撃に遭い、地面にうずくまって震えているところを棒で激しく殴打された。 BBCの取材に対しアリアさんは、「痛みしか感じなかった。魂が体から抜けていくようだった」と語った。 また、デイル・イスティヤ近くのハミダ・モスク(イスラム教の礼拝施設)では放火があり、内部にあったの説教台やカーペット、家具などが損傷した。 このモスクのイマーム(宗教指導者)であるアフマド・サルマン師は、入植者らは「自分たちは街でも村でもどこにでも入れるし、民間人を殺せるし、家やモスクを焼けるというメッセージを送っている」と話した。 イスラエル軍指導部はこうした事態に厳しい警告を発し、数件の逮捕と捜査を実施した。 一方で、入植地の範囲を拡張しようとする入植者たちは、政府の支援を受けており、これがヨルダン川西岸地区を危険な対立に追い込んでいると見る向きもある。 ルーシー・ウィリアムソン中東特派員が報告する。

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