埼京線で痴漢被害、逆上した男から激しく暴行 運転士は“見て見ぬふり”、警察から耳を疑う言葉も

埼京線の車内で痴漢被害に遭遇、相手をにらみ返したところ逆上した男から激しい暴行を受け……。恐怖体験の一部始終と痛々しい打撲痕を公開した投稿に、ネット上で大きな波紋が広がっている。いったい何があったのか。過去に何度も痴漢被害に遭い、そのたびに泣き寝入りを強いられてきたという女性は、今回決死の思いで被害届を提出。鉄道会社や警察に徹底した対策の強化を訴えている。 埼玉県在住の25歳女性が被害に遭ったのは、今月17日の午後5時頃のこと。JR埼京線・川越駅行き快速電車の車内で、ドア横の手すりの脇に寄りかかって立っていたところ、背後から背中をなでられるような感触があったという。 「1度ではなく、2度3度と触られたため、端の席に座っていた50~60代くらいの中年男性に『何ですか?』と声をかけたんです。男はスマホをいじってしらばっくれていました。下車予定の駅で降りる前にもう一度前に立ってにらみつけたところ、目が合った男が突然立ち上がって髪や腕につかみかかってきたんです。怒鳴り声を上げるわけでもなく、いきなり手を出してきた感じでした」 女性は開いたドアからホームに逃げたが、男はなおも女性を追いかけ、ホーム上に引きずり倒して殴る蹴るなど暴行。異変に気付いた周囲の人が間に割って入ろうとしたところ、男は発車間際だった元の車両に飛び乗り、そのまま電車に乗って去っていった。女性は男に対してはもちろん、電車を発車させた運転士や駅員の対応にも疑問の思いを口にする。 「定時運行のためなのか知りませんが、ホーム上がトラブルで騒然とするなか、当事者が駆け込み乗車した瞬間に発車させる必要があるでしょうか。運転士さんも目の前で暴行の様子を見ていたはずなのに、何事もなかったかのように指差し確認をしてドアを閉めたのにはがく然としました。周囲にいた何人かの人に連れ添ってもらい、すぐに駅の事務所にも報告に行きましたが『何分の電車ですか? じゃあこのメモを持って交番に行ってください』と事務的な対応で……。逮捕権限はなくとも、次の駅で相手に話を聞いたり、ICカードの情報を控えることくらいはできると思うのですが」 女性はその足で近くの交番に向かい、約40分後にホーム上で行われた警察の現場検証に同行。男ともみ合う際に相手の肩を押し返したと説明したところ、警察から「あー、男性に触れちゃったんですか。そうすると向こうも暴行罪で訴えてくるかもしれませんね」と耳を疑う言葉をかけられたという。 「まるで遠回しに『面倒だから届は出してくれるな』という感じでした。被害届提出には実況見分調書の作成にさらに3時間以上かかるとのことで、その日は子どもの迎えもあったので難しかったのですが、今回ばかりは泣き寝入りできないと2日後に正式に届を出しました。相手に蹴られた膝は全治2週間の打撲、ムチ打ちもあるとの診断で、それもすべて自費診療です。暴行の様子はホームの防犯カメラにも映っており、複数の証言もあるため、警察のやる気次第で逮捕までいけるかもしれない。手に残っていた相手の服の繊維も提出しました。やれることはすべてやるつもりです」 証拠や目撃情報を募るため、女性は一連の経緯をSNS上に報告。投稿は約2万件のリポスト、7万件以上の“いいね”を集めるなど大きな反響を呼んでおり、「私も痴漢されて警察に相談しましたが、被害届を受理してもらえませんでした」「抵抗して相手の足を踏んづけたら、『あなたも同罪』と言われた」など、同様の体験談が数多く寄せられているという。 「ホームから突き落とされるかもしれなかったのに、押し返したら同罪なんてどう考えてもおかしい。それじゃあ正当防衛って何なのと思います。埼京線は中学時代から使っていますが、学生の頃はほぼ毎日痴漢に遭い、中にはパンツの中まで手を入れられたり、体液をかけられた友達もいる。妹も盗撮で被害届を出して、犯人逮捕につながったことがあります。鉄道会社は警察とも連携して、本気で痴漢対策に乗り出してほしい」 卑劣な犯罪は許さないという強い姿勢と、実効性のある対策が求められる。

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