愛するちいちゃんは見知らぬ男性に突然命を奪われた SNSで知り合った男に娘を殺された父親の22年間の苦悩と命の教え【前編】

2003年、当時大学2年生だった「ちいちゃん」こと米村智紗都さんが、インターネットを通じて知り合った男性に殺害された痛ましい事件。そのつらい記憶を、父親の米村州弘さん(熊本市)が生徒たちに語りました。 くまもと被害者支援センター自助グループ「さくら会」の代表を務める米村さんは、宮崎学園の中学生や高校生を前に命の尊さを訴えかけました。講演の中で語られた22年間の苦しみと、私たちが忘れてはならない大切なメッセージをお伝えします。 ■ちいちゃんは突然行方不明に 「今日はよろしくお願いします。私の娘ちいちゃんの話は27年ほど前に遡らなければできません」 米村さんは静かな口調でそう切り出しました。 27年前、米村さんは中学3年生の次女 智紗都さん(以下 ちいちゃん)に、「第一志望の高校に通ったらパソコンを買ってあげる」と約束しました。当時、子どものためにパソコンを買ってあげる親はそう多くありませんでした。しかし米村さんは、3人の娘たちの将来のために役立つと考え、パソコンを購入したのです。 「実際今はもうそういう時代になったわけですよね。だからその選択が間違ってなかったとは思ってないんですけど、本当に子供たちの将来のためだけに買ってあげました」 ちいちゃんは、そのパソコンを通じて全国の約20人とメールのやり取りをするようになりました。その中に、とてもいいアドバイスをする相手がいました。高校選びや読書、部活動など、たわいもない相談に対して的確な答えを返してくれる人物を、ちいちゃんは次第に信頼するようになったといいます。 当時、家族は、ちいちゃん本人と22歳の姉、高校1年生の妹という3人姉妹と両親の5人家族。米村さんは「毎年恒例の海水浴に家族全員で出かけるような、とても仲の良い家族だった」と振り返ります。 大学2年生になったちいちゃんは、サークル活動やアルバイト、初めてのボーイフレンドもでき、充実した日々を送っていました。 そんなある日、ちいちゃんは突然行方不明になりました。

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