英国政府がパレスチナ支持デモを行った市民を大量逮捕したことをめぐり、「集会および表現の自由」について司法判断が下される見通しとなった。政府は治安維持を前面に掲げる一方、団体側はあくまで平和的集会にすぎないと主張しており、立場の違いは大きい。 24日(現地時間)、ガーディアンなどの海外メディアによると、英国高等法院は今月から、パレスチナ支持の「パレスチナ・アクション」を違法テロ団体に指定した英国政府の決定について、違法性審査を進める。 これに先立ち政府は、テロ防止法に基づきこの団体を違法団体リストに載せていた。今年6月に空軍基地へ無断侵入し、空中給油機に赤いペンキをまき散らし、防衛産業企業の施設にチェーンを掛けるなど、物理的損害を与えたという理由からだ。 英国政府は「国家安全保障に関わる施設に対する組織的犯罪行為」であり、「物理的侵入や破壊が繰り返され、国防・軍需インフラを標的とした点で一般的なデモとは異なる」として、刑事処罰の必要性を強調した。現行では、この団体のメンバーは最長14年の懲役刑に処され得る。 一方、「パレスチナ・アクション」は、「英国の防衛産業がイスラエルの軍事作戦に加担するのを阻止する」という目的で「直接行動(direct action)」を行ったにすぎないとの立場だ。英国政府内部の評価でも、385件の活動のうちテロに該当するのは3件にとどまるという資料を根拠に挙げている。 この問題は、英国民のイスラエルへの支持姿勢とも絡み、世論も二分されている。人権団体側は、表現の自由・集会の自由を掲げ、政府の制裁に懸念を示した。 裁判所は、違法テロ団体に指定される前に意見提出の機会があったか、政府が主張する指定理由が表現の自由を一定程度制限するほど重大なのかなどを検討する予定だ。 空軍資産にペンキをまくといった行為が、武力被害や人命に危険を及ぼしてはいないものの、国家安全保障を脅かす行為に当たるのかも争点となる。 BBC放送によると、今年7月にテロ団体リストに載って以降、先月までに「パレスチナ・アクション」支持者2100人余りが逮捕された。公共の場で衣装や特定の物品を通じて同団体への支持意思を示したとして、約170人が起訴されたと海外メディアは伝えた。 全英警察署長協議会(NPCC)前テロ対策本部長のニール・バス氏は「今回の裁判所の判断が、『法律がデモをどのように扱うべきか』について重要な意味を持つことになるだろう」と述べた。