東京・足立区で乗用車が歩行者をはね、11人が死傷したひき逃げ事件で、事件を起こした車を盗んだとして送検された男が、事故後の状況について「私自身が安全な場所に行かなければならないと思い、自宅に歩いて行きました」と供述していることがわかりました。 この事件はおととい、足立区で乗用車が歩行者をはね、運転していた男が逃走し、▼杉本研二さん(81)と▼フィリピン国籍のテスタド・グラディス・グレイス・ロタキオさん(28)が死亡したものです。 けさ送検された足立区の37歳の男は事件前、近くの自動車販売店で、ひき逃げ事件を起こした車を盗んだ疑いがもたれています。 その後の捜査関係者への取材で、男が「神奈川県秦野市の山の方に行こうと思い、途中で車が壊れて行けなくなった」と供述していることがわかっています。 一方、車の窃盗容疑について「私がトヨタの中古車販売店に行ったのは車を盗むためではありません。前から乗ってみたかったクラウンという車を試乗するために店を出て4号線を走りました。盗むためではなく試乗するためです」と否認しているということです。 男は過去にこの販売店を訪れたことがあり、その際に「車を買う」と申し出て、「金を持ってくる」と話したものの、現金を持ってこなかったということです。 また、事故を起こしたことについて、「レッカーを呼ばないといけないことはわかっていましたが、私自身が安全な場所に行かなければならないと思い、自宅に歩いて行きました」と供述しているということです。 死亡したテスタドさんがはねられた現場では、車が最高で時速70キロで横断歩道に進入していた可能性があることも新たにわかりました。 歩道に乗り上げ杉本さんら歩行者をはねた現場では時速60キロ、トラックに追突し停車した現場では時速45キロに、それぞれ達していた可能性があるということです。 警視庁は、横断歩道の現場から追突現場まで、車がブレーキをかけていなかった可能性があるとみて、捜査を進めています。 横断歩道の歩行者信号は青だったということで、警視庁は危険運転致死傷の疑いも視野に、当時の状況を調べています。