「当日福岡にいた可能性」「ジャンクサイエンスを排除」王将社長射殺、弁護側の冒頭陳述

「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=を射殺したとして、殺人と銃刀法違反罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59)の初公判が26日、京都地裁で開かれた。弁護側は冒頭陳述で、「被告人は犯人ではない」とし、被告が事件当日に「福岡県にいた可能性がある」と主張。検察側が挙げる間接証拠は「(犯人性を立証する)決め手ではない」と指摘した。 検察側の冒頭陳述によると、事件後に現場付近でたばこの吸い殻が2本見つかり、たばこの吸い殻から被告のDNA型が検出された。発見場所は従業員が日常的に掃除しており、事件前日の朝に吸い殻は落ちていなかった。また、事件から半年後には被告が携帯電話に「警戒を解いてはならない。息を潜めて行動しろ」などとメモを残していたという。 これに対し、弁護側は冒頭陳述で、「被告人は犯人ではない。事件当日、福岡県にいた可能性がある」と主張。ただ、事件当日は被告にとって「特別な日」ではないため、確実なアリバイを主張できないことがあるとした。 その上で、検察側の証拠については、被告の犯人性を立証する「決め手ではない」と指摘。「検察官の科学的立証が本来の意味での科学的立証となっているか」と疑問視し、「『ジャンクサイエンス』を徹底的に排除していく」と全面的に争う姿勢を示した。 起訴状によると、平成25年12月19日午前5時45分ごろ、氏名不詳者らと共謀し、京都市山科区の王将フードサービス本社前で、大東さんの腹や胸を拳銃で撃ち、失血死させたとされる。 被告は「私は決して犯人ではありません」と起訴内容を否認し、無罪を主張している。 被告が逮捕されたのは、事件発生から約9年後の令和4年10月。目撃証言といった直接証拠はなく、公判では検察側が、被告が事件現場の近くにいたことなどを示す間接証拠をいかに積み上げられるかが焦点となる。

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