茨城県河内町下加納の住宅で7月、住人の無職、男性(73)=当時=が刃物で刺され遺体で見つかった事件で、県警竜ケ崎署捜査本部は26日、強盗殺人の疑いで、同県取手市、無職、男(75)を逮捕した。捜査本部によると、「関係ありません」と容疑を否認している。捜査本部は男性を狙った経緯や動機の解明を進める。 逮捕容疑は、7月1日午後4時ごろから同9時ごろまでの間、男性方で、男性の首を刃物で突き刺すなどして外傷性ショックで殺害した上、男性所有の乗用車(80万円相当)と、車や家の鍵束、財布1個などを奪った疑い。 捜査本部によると、男は男性の親族との間で金銭トラブルなどがあり、男性本人とは十数年前に数回会ったことがある。 事件後、現場周辺の防犯カメラに走行中の男性の車が映っており、男が浮上した。男は7月17日に栃木県警に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され、押収した車両が男性の車と判明。所持品から鍵束も見つかり、茨城県内の関係先からは男性の財布も発見された。 男は男性を殺害したとされる直後の7月2日午前2時ごろ、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)牛久阿見インターチェンジ(IC)付近で無免許運転などをしたとして、茨城県警が今月5日、道交法違反容疑などで逮捕=処分保留。男性の車に偽造ナンバープレートを付け替えて走行していたとされ、捜査本部は追跡を逃れる狙いがあったとみて調べている。 男性の首や腹などには刃物による傷が8カ所あった。捜査本部は現場などから複数の刃物を押収しており、この中に男性の血が付いた刃物もあった。解剖の結果、凶器は片刃で、刃体の長さは10センチ以上という。 事件は7月12日午前、男性方を訪ねた知人女性が1階台所で遺体を発見した。死後10~14日ほど経過し、上半身は裸で遺体には毛布がかけられていた。室内には引き出しが2カ所開くなど物色されたような跡もあった。県警は同15日に同署に捜査本部を設置し、これまでに延べ約3800人の捜査員を投入、容疑者の特定を進めた。 ■容疑者は「怖い印象」 周辺住民、安堵の声も 茨城県河内町の男性刺殺事件で逮捕された男は、現在は無職だが、かつて解体工事などの仕事に就いていたという。男を知る人は「怖い印象」と語る。逮捕を受け、事件現場の周辺に住む住民からは安堵(あんど)の声が聞かれた。 約60年前に開発された古い住宅団地の一角に住む男。関係者によると、話し込む近隣住民らを大声で叱責(しっせき)することもあったといい、住民の一人は「顔を合わせる機会もほとんどなく、怖いという印象」と話した。一方、別の住民は「近所で路上にはみ出た枝を切ってあげるなど、親切な面もあった」と振り返った。 事件現場近くの住民は、容疑者逮捕の知らせに安堵した様子。80代女性は「近くを通るたび、気持ちが不安定になることもあった。捕まって良かった」と語った。