トランプ氏「完全に安全」発言からわずか1日…ホワイトハウスの目の前で兵士が銃撃「衝撃」[ルポ]

26日(現地時間)午後2時15分。ホワイトハウスからわずか200メートルほどの前の交差点で、数発の銃声が響いた。ある男が狙って発砲した弾丸を受けた州兵2人が血を流してその場に倒れた。 ホワイトハウスのすぐ目の前で、それも米国大統領が直接投入を決定した軍兵力を狙った銃器テロによって、感謝祭を翌日に控えた米国は騒然となった。 近くの飲食店で働くエドガーさんは中央日報の取材に対し、「銃撃のあとヘリコプターが飛び、消防隊や警察、軍兵力まで押し寄せるのを見ても、まさか州兵が銃に撃たれたなんて想像もしなかった」とし、「世界で最も安全でなければならないホワイトハウスの前でこんなことが起こったのは衝撃的だ」と語った。 さらに「ワシントンには多くの兵士が配置されているが、こうしたことを防ぐ対策を早く整えなければならない」とし、「軍人だけでなく、大衆交通を利用する人々も恐怖に震えざるを得ない」と付け加えた。 ホワイトハウス近くの地下鉄駅入口をパトロールしていた2人の兵士に銃撃を加えて重体に追い込んだ容疑者は、アフガニスタン国籍の29歳の男だという。男は2021年9月米軍のアフガニスタン撤収後、タリバンの占領を逃れ亡命を希望したアフガニスタン人を受け入れるプログラムを通じて米国に入国した。AP通信は、捜査当局が容疑者の名前を「ラフマヌラ・ラカンワル」であることを確認したと伝えた。 容疑者は現場で応戦射撃を受けて重傷を負った。警察当局は「現場で逮捕された容疑者の犯行動機は明らかになっていないが、単独犯行とみている」と発表した。ワシントンのミュリエル・バウザー市長も「今回の事件は『標的型の攻撃』」とし、「個人が隊員を標的にしたもの」と述べた。 外国人が白昼に起こした衝撃的な銃器テロに、不法移民の追放や移民政策反対デモの鎮圧などのために投入された兵力の警戒心は急激に高まった。 完全武装してホワイトハウスを守っていた大統領警護隊(シークレットサービス)要員は、状況を尋ねる記者の質問に「何も話せないし、撮影も許可できない」とし、現場取材を遮った。外国人である記者との短いやりとりの間でも、要員はいつでも応戦射撃できるよう、実弾が装填された小銃の引き金の横に手を添えていた。 ドナルド・トランプ大統領は事件発生直後、ソーシャルメディア(SNS)に投稿したコメントで犯人を「獣(animal)」と呼び、「州兵を撃ったその獣も重傷を負ったが、それとは無関係に厳しい代償を払うことになる」と述べた。 続いて容疑者がアフガニスタン人だと特定された後には、マールアラーゴ ・リゾートから映像声明を出し、「国土安全保障省は、容疑者が『地上の地獄』アフガニスタンから入国した外国人であると確信している」とし、「彼はバイデン政府が運営した悪名高い(亡命者受け入れ)航空便で入国した」と主張した。 さらに「前政府は検証されていない外国人2000万人を米国に入国させた」とし、「アフガニスタンから入国したすべての外国人を再検証し、米国に利益をもたらさないすべての国の出身外国人を追放するために必要なあらゆる措置を講じる」と強調した。 声明が出された直後、移民局(USCIS)はSNSを通じ、「アフガニスタン人のすべての移民申請処理は、追加審査が行われるまで無期限に中断される」と発表した。 トランプ大統領は前日、感謝祭イベントで「(兵力投入で)ワシントンは6カ月間、ただの一件の殺人も発生していない完全に安全な都市になった」と述べ、ワシントンへの軍投入を業績として強調していた。移民やバイデン政府に犯行の責任を転嫁し敏感に反応した背景には、この点が関連しているとの解釈が出ている。 トランプ大統領は続けて「戦争省にワシントンへ追加で500人の兵力を動員するよう指示した」と明らかにした。現在ワシントンには2000人以上の軍兵力が投入されている。これについて連邦裁判所は20日、ワシントン市当局の「ワシントンへの軍投入を禁止してほしい」という仮処分申請を認めた状態だ。 しかしワシントン市民は、軍兵力に対する追加テロの可能性を懸念した。現場で会ったショーン・クリークさんは、「同じことがいつまた起こるか分からない」とし、「今まさに私の息子がホワイトハウスで環境管理要員として勤務しているが、今では息子がいつ銃に撃たれるかわからないと心配しなければならない状況だ」と語った。 実際、現場で会った銃撃テロ目撃者たちは、「Uber運転手と見られる男が(銃撃された)州兵の一人と言い争っており、その過程で銃声が響いた」と伝えた。移民に対する取り締まり、または検問の過程で銃撃が起きた可能性があるという意味に解釈される。ワシントンD.C.のジェフ・キャロル警察庁次長は記者会見で「州兵隊員らが巡察していたところ、容疑者が角を曲がって銃器を持ち発砲した」と述べた。 すでにジョージア拘禁事態を経験したアトランタの留学生キム・チャンドさんは、「ジョージアで発生した韓国人労働者拘禁事態に続き、子どもたちとワシントン旅行中にこんなことまで起きて、外国人の立場として、とても怖い」とし、「関連の知らせを聞いて急いでホテルに戻るところ」と語った。

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