韓国与党代表、大統領弾劾に賛成示唆 弾劾動議の採択前倒しへ各党が緊急会議

ローラ・ビッカー・アジア特派員(ソウル)、ニック・マーシュ記者(ソウル)、ケリー・アン(シンガポール) 韓国の主要政党は6日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案について緊急会議を重ねている。動議の議決が前倒しになる可能性も報道されている。 尹大統領が所属する与党「国民の力」の韓東勲 (ハン・ドンフン) 代表は6日、大統領の迅速な停職を求め、「尹氏が権力に留まることは大きな危険をもたらす」と述べた。 韓代表のこの発言によって、与党が野党と共に弾劾訴追案に賛成する可能性が初めて明確に示された。 尹大統領は3日夜に突如として非常戒厳を宣布。約6時間後に国会の要求に従って解除した。野党はその後、大統領に対する弾劾訴追案を提出し、7日に採決が予定されている。 しかし最大野党「共に民主党」は、動議の可決に必要な票数を確保でき次第、投票を行う可能性があると述べている。 野党支持者たちは6日もプラカードを手に持ち、大統領の解任を求める声を上げながら、国会議事堂の階段に集結している。 ■政治家逮捕の「計画の証拠」と与党代表 韓代表は6日、尹大統領が職に留まれば、非常戒厳のような「極端な行動」が繰り返される可能性があると懸念を表明した。 「(この事態は)大韓民国とその国民を、多大な危険にさらしている」 与党「国民の力」はこれまで弾劾訴追案に反対する姿勢を示していたものの、韓代表の発言はその方針転換となる。 韓氏はまた、尹大統領が3日の非常戒厳宣布にあたり「国家反逆罪」で主要な政治家らの逮捕を命じたという「信頼できる証拠」があると述べた。 さらに、ソウル南部の果川市にある拘置所に、逮捕した野党政治家を収監する計画があったことも把握したと、韓氏は話した。 同日には、「国民の力」の趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員が、与党議員として初めて尹大統領の弾劾を公に支持した。 趙議員は、「大統領の職務を停止して国民の側に立つか、非常戒厳を宣布した勢力の仲間になるかは、政治家が判断する問題だ」と述べた。 「私は『国民の力』の全議員が、国民の側に立つことを望む」 弾劾訴追案は、国会で報告されてから72時間以内に採決にかけられる。定数300人の3分の2(200人)以上の賛成で可決となる。 野党は現在、192議席を持っており、与党議員108人のうち少なくとも8人が賛成に回る必要がある。 野党議員たちは、再び戒厳令を発布しようとする動きがあるのではないかと懸念している。議員らはBBCに対し、非常戒厳の宣布を阻止するために迅速に投票できるよう、国会の近くに滞在していると話した。 首都ソウルでは、尹大統領の辞任を求める街頭抗議が2日以上続いている。警察は、尹氏を「内乱罪」で捜査していると発表した。 韓国メディアによると、「国民の力」の議員たちは、尹大統領の弾劾に賛成するよう求めるテキストメッセージを大量に受け取っている。 朝鮮日報は、申成範(シン・ソンボム)議員がフェイスブックでこうしたメッセージを4000件以上受け取ったと報じた。 また、韓国の世論調査会社「リアルメーター」による5日の調査では、7割以上の韓国人が弾劾に賛成している。 尹大統領は戒厳令を発動しようとする前から、相次ぐ汚職疑惑と支持率急落によって政権運営が行き詰まり、野党主導の立法府によってレームダック(死に体)状態に陥っていた。 追加取材:イ・ホス(ソウル)、ファン・ワン(シンガポール) (英語記事 S Korea parties hold emergency talks as impeachment vote looms)

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