韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が7日朝、演説を行い、3日夜に突如として宣布した非常戒厳について謝罪した。一方、辞任の意向や弾劾についての明確な言及はなかった。 尹氏は4日朝に非常戒厳を解除して以来、公の場で発言していなかった。 国会では7日午後にも、同大統領に対する弾劾訴追案の採決が行われる予定。 尹大統領は、国民に向けた非常に短い演説で、非常戒厳を宣布したことについて謝罪。「この決定は、大統領としての私の切迫した思いから出たものだ。しかし、それが国民に不安と不便をもたらした。大変申し訳なく思っており、お詫びする」と述べた。 尹氏は続けて、「この宣言によって生じた法的および政治的責任から逃れるつもりはない」と述べた。 また、国内に不安が残っていることを念頭に、「再び非常戒厳が宣布されることは絶対にないと、はっきり申し上げる」と言明した。 尹氏は最後に、「私の任期を含め、国をどう安定させるか、その決定は我が党に委ねる」と述べた。同大統領の任期は本来、2027年まで。 最後に、「今後の国の運営については、党と政府が責任を負う。国民にご心配をおかけしたことをあらためてお詫びする」と、頭を下げて謝罪した。 主要野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、尹大統領の演説を「非常に失望させるもの」と批判。「国民の期待に応えず、さらに裏切っただけだ」と述べた。 「現在、韓国にとって最大のリスクは大統領自身の存在だ。尹政権を早期に終わらせるためには、辞任か弾劾しか道はない」と李氏は語った。 尹氏は3日夜に突如として非常戒厳を宣布。約6時間後に国会の要求に従って解除した。 その後、韓国国会では5日、野党が提出した大統領の弾劾訴追案が発議された。警察も、大統領を「内乱」の疑いで捜査していると発表した。 尹大統領が所属する与党「国民の力」の韓東勲 (ハン・ドンフン) 代表も6日、大統領の迅速な停職を求めると発言していた。 韓氏はまた、尹大統領が3日の非常戒厳宣布にあたり「国家反逆罪」で主要な政治家らの逮捕を命じたという「信頼できる証拠」があると述べていた。 聯合ニュースによると、韓国・国家情報院の洪章元(ホン・ジャンウォン)第1次長は6日、尹大統領が3日に「非常戒厳」を宣布後、与党「国民の力」の韓代表のほか、野党「共に民主党」の李代表、同党の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表、野党「祖国革新党」の曺国(チョ・グク)代表らの逮捕を直接指示していたことを明らかにした。 洪氏は6日に国会で情報委員会の申成範(シン・ソンボム)委員長(「国民の力」)と会合した際、尹大統領が「非常戒厳」発表直後に電話で「この機会にすべて捕まえて整理しろ」と指示し、国軍防諜司令部を支援するよう命じたのだと、明らかにしたという。 (英語記事 South Korea's President Yoon apologises for declaring martial law)