《連載:2025 茨城県内10大ニュース》(1) 日立妻子6人殺害

2025年も残りわずかとなった。茨城県内の1年間のニュースを振り返る。 ■上告棄却、死刑が確定 茨城県日立市で2017年に妻子6人を殺害したとして殺人や非現住建造物等放火などの罪に問われ、一、二審で死刑判決を受けた無職、土肥(旧姓小松)博文被告(41)の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は2月21日、被告側の上告を棄却。死刑が確定した。4人の裁判官全員一致の結論だった。 判決によると、事件は同年10月6日未明に発生。土肥死刑囚は当時暮らしていた同市田尻町の県営アパートで妻(33)と養女(11)、長男(7)、二男(5)、三男(3)、四男(3)=いずれも当時=の6人を包丁で複数回刺した上、玄関付近にガソリンをまいて放火し殺害した。 事件を起こしたその日に、土肥死刑囚は県警日立署に出頭し逮捕された。妻から離婚を切り出されたのをきっかけに妻子を殺害して自殺しようと考え始め、最終的には妻が懇意にしている男性に妻子らを取られたくないと思い、妻を殺害後に残される子どもたちの将来を悲観した、というのが動機だった。 土肥死刑囚は勾留中の18年、心不全などで倒れ、後遺症で事件当時の記憶を喪失。弁護側は「訴訟能力が認められない」として公訴棄却を求めていた。これに対し第2小法廷は、弁護側の訴えは単なる量刑不当の主張などであり、上告理由に当たらないと判断。訴訟能力の有無には直接触れなかった。 その上で「6人の命を奪った結果は極めて重大」と指摘し、犯行態様は「強固な殺意に基づく残虐なもので、人命軽視の態度が甚だしい」と非難。計画性も認めつつ「動機は身勝手で、経緯も酌むべきものとはいえない」とし、極刑を言い渡した一審判決はやむを得ないとした。 21年の一審水戸地裁判決は、被告の記憶喪失は認めつつ「意思疎通を図ることは十分可能で、訴訟能力があることは明らか」として求刑通り死刑を言い渡した。09年に裁判員裁判が導入されて以降、同地裁で初の死刑判決だった。23年の二審東京高裁判決も一審判決を支持した。 茨城県関係の主な確定死刑囚はほかに、間中博巳(89年の岩井市=現坂東市=同級生連続殺人、2005年確定)▽後藤良次(00年の水戸・宇都宮男女殺害、07年確定)▽藤崎宗司(05年の鉾田独居高齢者連続殺人、10年確定)-らがいる。

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