2000年12月に東京都世田谷区の宮沢みきおさん(当時44歳)一家4人が殺害された事件は、まもなく発生から25年となる。遺族や支援者らが13日、都内で追悼式や集会を開き、事件解決を願った。 みきおさんの妻泰子さん(同41歳)の姉、入江杏さん(68)は品川区旗の台で追悼会「ミシュカの森」を開いた。 「ミシュカ」はみきおさんの長女にいなさん(同8歳)と長男礼ちゃん(同6歳)が大切にしていた子グマのぬいぐるみの名前。追悼会は06年以降、毎年12月に開催している。 入江さんは、事件直後は「隣に住んでいたのになぜ助けられなかったのか、自責の念に苦しんだ」と振り返った。にいなさんの絵や家族の言葉に励まされ、悲しみと向き合ってきた。一方、事件が解決しても悲しみはなくならないことも実感しているという。「集会を通じて、自分や他者の悲しみに耳を傾けて応えていけるような社会になれば」と話した。 世田谷区内では、殺人事件の遺族でつくる「宙(そら)の会」などの有志が事件解決を願う集会を開き、メンバーや区民など約100人が参加した。 集会では、みきおさんの母節子さん(94)の日記の一部が朗読された。「一日として安心できる日はない」「おかしくなっても不思議でないくらい、待って待って待っている」といった悲痛な思いが読み上げられた。 宙の会は、DNA情報の捜査活用の拡大を訴えている。集会では、DNA情報を基に作成した似顔絵をきっかけに米国では200件以上の事件が解決したと紹介された。 集会には26年前に名古屋市内の自宅アパートで妻が殺害され、10月に容疑者が逮捕された事件の遺族、高羽悟さんも参加。「妻の事件の似顔絵はそこまで似ていなかった。DNA情報を基にした似顔絵があれば、もっと早く解決したかもしれない」と話した。 節子さんは体調不良で欠席したが、「高羽さんの事件の報道に触れて希望が持てた。犯人が諦めて自首することを望む」とのコメントを寄せた。 成城署は事件現場近くの小田急線成城学園前駅でビラ約4000枚を配って情報提供を呼びかけた。 佐藤圭一郎署長は「発生からまもなく25年が経過する事実を重く受け止めている。今だからこそ話せる話もあると思うので、ささいな情報でも提供してほしい」と話した。情報提供は捜査本部(03・3482・0110)へ。【松本ゆう雅、菅健吾】