学校の防犯カメラ設置に「大きな格差」 設置ゼロもあれば、教員不祥事の監視も

京都府内の公立小中高校で防犯カメラの設置状況に差が出ている。京都新聞社が25市町・広域連合の教育委員会に尋ねたところ、不審者対策として校門付近などに全校設置しているのは17市町村で、ゼロの自治体は3市町だった。盗撮防止などを目的に校舎内にカメラを設置する学校はまだないが、府内で教員の不祥事が相次ぐ中、更衣室の整備や職員による定期点検で盗撮防止に努める自治体もある。 小中高校の防犯カメラ設置は、2001年6月に大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)で起きた校内児童殺傷事件をきっかけに全国に拡大した。京都新聞社の調べでは、府内では京都市や宇治市、大山崎町など17市町村で全校設置済みで、校門や校舎の入り口付近に設けるケースが大半を占めた。 一方、福知山、舞鶴、綾部、宮津、南丹の5市の小中学校では一部設置していないところもあった。綾部市は「高い塀があるわけでもなく、入ろうと思えばどこからでも入れるので、設置の意味は薄い」、宮津市は「予算の問題もある」などと説明する。 小中学校に防犯カメラを一つも設置していない自治体は3市町。ある市の担当者は「設置したい思いはあるが、予算の問題がある」と話す。「治安が良く、不審者対策として設置の必要性を感じていない」と打ち明ける町担当者もいた。 学校敷地内の防犯カメラは長らく不審者対策として活用されてきたが、近年は教員の不祥事を監視する意味合いも出てきた。愛知県みよし市は、7月に中学校で発生した教員による盗撮事件を受け、全小中学校12校の廊下に計約200台を取り付け、更衣室やトイレの出入り口などを撮影する方針を決めた。 府内でも9月に長岡京市の男性中学教諭(当時)が教室でモバイルバッテリー型カメラを設置し、着替え中の女子生徒5人の動画を撮影した疑いで逮捕された。今月7日には府南部地域の府立高の教諭2人が校内などで、顧問を務める部活動の女子部員を複数回抱きしめたりキスしたりするなどし、懲戒免職処分を受けている。 ただ現時点で、府内では校舎内の防犯カメラ設置の動きはない。京都市の担当者は「プライバシーの問題があり課題は多い。国や他の自治体の動向を見極めたい」と言葉少な。京田辺市の担当者は「教育課題として認識しているが、ハードルは高い。誰がどうカメラや撮影画像を管理するのか」、別の市の担当者は「児童生徒の日常がすべて録画されることに、保護者の理解が得られるのか」とそれぞれ疑問を呈す。 一方、カメラに頼らずに不祥事を防止する取り組みを始めた自治体もある。 長岡京市は盗撮事件を受け、更衣室を順次整備する方針を決めた。担当者は「専用の更衣室があれば、不審物の有無の確認がしやすくなる」とメリットを強調。南丹市や精華町などでは更衣室やトイレなどにカメラがないかどうか定期点検を始めた。町担当者は「現時点でカメラの設置は難しいが、できるところからやっていきたい」と話している。

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