《あのニュースの今2025》事件事故・火災・クマ・特殊詐欺 生命財産守る共助・地域のつながり 山形

「今年報じたニュースの今」1回目は、2025年に起きた事件・事故・火災について振り返る。 (リポート) 「風が非常に強く、その風にあおられて炎の勢いはおさまっていません」 「衝突した瞬間にかなりの衝撃を受けたのでしょうか、ボンネット部分が完全にめくれ上がっています」 「園地には警戒中ののぼりも立てられていますが、サクランボが盗まれました」 「夜の8時すぎです。1箇所にとどまっていたクマが再び動き出しました」 「くっきりと足跡が残っていて、私の手と比較しても同じくらいかそれ以上に見えます」 死亡事故や頻発した建物火災・特殊詐欺など、県内では2025年も私たちの生命や財産が脅かされる出来事が数多く発生した。 5月、SNSで知り合った10代の少女を車で連れ去った疑いで逮捕され、その後起訴された福島・福島市の岸波弘樹被告。 少女は上山市の山間部のテント内で死亡している状態で発見され、岸波被告は「自殺ほう助」の罪でも起訴された。 さらに岸波被告は、これまで福島県内で10代~20代の男女計4人の自殺を手助けしたなどとして起訴されていて、初公判は17日に福島地裁郡山支部で開かれる。 そして私たちを悩ませたのは、市街地への出没が相次いだクマ。 (警察本部地域課・吉田賢二課長補佐) 「クマが居座ってしまった場合はこう着状態が続くので、警察の対応もかなりの時間が割かれた」 県内のクマの目撃件数は2732件と、2024年の約9倍。 こうした中、県警のある取り組みが効果を示した。 (リポート) 「住宅街に現われたクマ。現在パトカーやドローンを使った捜索が行われています」 5月、県警は山岳遭難や災害時の状況調査などを目的に、ドローンを扱う団体と協定を締結。 山形市北部の住宅街にクマが出没した際にこれを初めて運用し、的確な現場指示につなげた。 (警察本部地域課・吉田賢二課長補佐) 「平面では田んぼの中にあった足跡など全然見えなかったが、ドローンを使うことにより鮮明にクマの足跡の発見につながっている。クマの早期発見に役立ったことは警察官のみならず、住民の安全安心の確保にもつながった」 3月には、保険会社の元女性営業職員がうその投資話で現金をだまし取っていたとさくらんぼテレビが報じ問題が明るみに出た。 その後、保険会社側は、「顧客26人から約2240万円をだまし取っていた」との調査結果を公表。 詐欺罪にあたるとしてこの元職員を告発した。 さらに「顔の見えない相手」からの詐欺も続発。 3月には山形銀行をかたる自動音声の不審な電話が相次ぎ、県内の企業が不正送金の被害にあった。 このうちフラワー長井線を運営する山形鉄道は約1億円をだまし取られた。 (県みらい企画創造部・岸威顕地域交通物流対策主幹) 「山形鉄道と沿線2市2町・置賜総合支庁を中心に、被害の影響も十分踏まえながら対応を検討している」 また8月には、県内に住む男性がSNSで知り合った女性名のアカウントから投資話を持ちかけられ、暗号資産や現金など1億3000万円をだまし取られた。 こうした私たちの財産をねらう悪質な詐欺が巧妙化する中、特殊詐欺の被害額は過去最高を更新した。 (県警生活安全企画課・加藤幸生課長補佐) 「今年10月末で、昨年1年間の被害金額をすでに上回っている状況で被害が深刻化している」 2025年11月末時点の特殊詐欺の被害件数は、2024年より26件多い100件で、被害総額は前の年の2倍近い4億8816千万円。 中でも特に注意が必要なのが「オレオレ詐欺」で、11月末時点で60件、被害総額は2024年の約3倍・3億9226万円。 「オレオレ詐欺」というと家族や親族を名乗る詐欺をイメージするが…。 (県警生活安全企画課・加藤幸生課長補佐) 「“ニセ警察詐欺”という手口が急増している。オレオレ詐欺の約9割を占めている現状」 「ニセ警察詐欺」は電話や通話アプリLINEを使い、ビデオ通話でニセの警察手帳や逮捕状を見せ相手を信用させる。 冷静さを失わせた上で「口座を調査する」と言い、金を振り込ませるのが代表的な手口。 (県警生活安全企画課・加藤幸生課長補佐) 「警察官はビデオ通話機能を使って取り調べを行うこともない。逮捕状の画像などを事前に見せることも絶対に行わない。まずは手口を知ることで“詐欺を見破る防犯力”を身につけてほしい」 (リポート) 「火災発生から約20分が経った現場です。消防によって現在懸命な消火活動が行われています」 そして相次いだ建物火災。 10月末時点で144件と、2024年の同じ時期と比べ22件増加している。 このうち4月には、わずか1週間のうちに9件発生し、県は約2年ぶりに「建物火災多発警報」を発令した。 こうした中、真っ暗な空に激しく立ち上る煙と炎。 5月、尾花沢市の中心市街地で大規模な建物火災が発生した。 (尾花沢市防災危機管理課・間宮康介課長) 「当時はここが魚屋さん、はさんで洋服屋さん・花屋さん、一番向こうに自転車屋さん。昔の商店街なのですき間なく建っている感じ」 この火事で計8棟が全焼。 しかし、1人も犠牲者を出すことなくけが人もいなかった。 (尾花沢市防災危機管理課・間宮康介課長) 「『火事だ、みんな逃げましょう』と地元の人が1軒1軒に入って確認してくれたのが一番。大体どこの家に何人いるかわかる。これが一番」 自身も救助活動にあたった市防災危機管理課の間宮さんは、住民の「共助」と「自主防災組織」がうまく機能したと振り返る。 (尾花沢市防災危機管理課・間宮康介課長) 「自主防災組織には消防団のOBもいるので、向こうの消火栓からホースをつないで水をかけたり、私が来た時にはもうやっていた」 そのうえで大規模火災においては、地元以外から応援にかけつけた消防団や消防隊員が、迅速に消火作業が行える“仕組みづくり”が必要だと感じたという。 (尾花沢市防災危機管理課・間宮康介課長) 「街の消火栓・防火水槽の位置をある程度示すマップがあるといい。今年4月にハザードマップをデジタル化して公開しているが、そこにも載せられないか模索している」 1人の犠牲者も出さなかった尾花沢市の大規模火災。 「得た教訓」と「新たな取り組み」は、火災だけでなくさまざまな災害からも暮らしを守る「地域の力」となるはず。 (尾花沢市防災危機管理課・間宮康介課長) 「“こういうことが起きたらこうしましょう”ということを常に決めておく。事前にそういうシミュレーションをしておく。隣近所のお付き合いと声かけが命を救う一番の行動になる」 「共助」という言葉の意味をあらためて学んだ。 いざという時に、自分と家族はもちろんだが、ともに暮らす地域の人たちと助け合うことが大切だと感じた。

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