窃盗の疑いで逮捕され不起訴となった男性が佐賀県警の警察官から違法な取り調べを受けたなどとして、県に損害賠償を求めた裁判で福岡高裁は男性側の主張を全面的に認め慰謝料などあわせて44万円を県に支払うよう命じました。 訴状などによりますと、窃盗の疑いで逮捕され不起訴となった30代の男性は、取り調べで黙秘していたにもかかわらずうその供述調書に署名するよう迫られるなど自白を強要され黙秘権を侵害されたなどとして県に330万円の損害賠償を求めていました。 17日福岡高裁の松田典浩裁判長は「『自白すれば立件する事件を減らす』と誘いかけるなどして自白を促した」と指摘。 「限度を逸脱した取り調べだった」として1審では認められなかった黙秘権の侵害を新たに認定し、男性と弁護人に慰謝料などあわせて44万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。 原告側の弁護士は会見で県警による鑑定の不正にも触れ、「根を同じくする問題で個別事件としてとらえるのではなく捜査機関の不正の一環ととらえるべき」として取り調べの可視化など司法を透明化する必要性を訴えました。 また、原告の男性は「一審判決は事実に向き合っていないと感じていた。事実が明らかになってよかった」と話しています。 一方、県警監察課は「判決内容を精査し適切に対応する」としています。