「刑事になったよ」。最初に伝える相手は「亡き同級生」と決めていた。 広島県警尾道署の警察官村田将雪さん(26)は念願の刑事課に配属が決まった2021年春、広島市安芸区の矢野西小1年だった木下あいりちゃん=当時(7)=が遺体で見つかった学校近くの現場を一人訪ねると、手を合わせ、そう報告した。 あいりちゃんが千葉県から矢野西小に転校してきたのは05年の夏休み明けだった。村田さんは同じクラスですぐに仲良くなり、一緒に下校もするようになった。ともに過ごしたのは、あの日までのわずか3カ月足らず。それでもその時間を忘れたことはない。刑事を志したのは自分なりの「償い」でもあった。